side-JADE

□恋は何色
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「…きら。秋羅?」

「ん?ああ、ごめん。何?」

煙草を吸いながら物思いにふけり過ぎたのか、
夏輝がすぐ側で呼んでいる事にも気づかなかった。

「この曲なんだけどさ…」

レコーディング中の曲の確認。
話を聞きながらふんふんと頷くも、半分上の空。

「秋羅…?」

具合でも悪いのと、顔を覗き込まれる。
これがあの子だったら…と、考えてしまう自分に思わず笑ってしまう。

「いや、悪い。大丈夫だから」

「どうしたの?何か考え事?
悩みがあるなら聞くけど?」

顔色を見て体調じゃないなら何か悩んでるらしいと判断したらしい夏輝は、
俺の目をじっと見て聞いてくる。

「そんなんじゃないって。
大体俺が悩みだなんて、そんな柄じゃないし?」

なんて言ってみたけれど、周りには思い悩んでるように見えているのか。
ずっと隠してきたのに…自分が思っている以上にやばいらしい。

末期だ―。

苦笑いを浮かべると、夏輝の肩をぽんと叩いてブースに戻る。


―しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで―



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