藤崎義人
□栞
1ページ/3ページ
(何かいいもの見つかるかな…)
新曲のPV撮影の休憩時間に、ふらりと立ち寄った雑貨屋に私はいた。
もう何週間も色んなお店を見て回っているけれど、
なかなかピンと来るものが見つからずにいる。
探し物は彼へのプレゼント。
バレンタインでの告白が成功し、密かに想いを寄せていた彼と付き合い始めてまだほ
んの数日。
間近に迫った彼の誕生日プレゼントがまだ決まらずにいた。
ジャンルを決めて探すよりも雑貨屋の方が見つかりやすいかと思って寄ってみたけど
、
これまた色々あり過ぎて目移りしてしまう。
休憩時間も長くはない。
諦めてまた違う所で…と思い、店を出ようしたその時、あるものに目が留まった。
何の変哲もないものだけれど、何故だか目が離せない。
よく言う「呼ばれた」という状態なのだろう。
これならきっと喜んでくれるに違いない。
手にした彼を思い描けば気持ちが逸る。
時計を見ると休憩時間は残りわずか。
お店の人に取り置きをお願いして、私はPV撮影に戻った。