VD企画

□甘いひと時
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(うぅ…緊張する…)

いつもなら1人のお菓子作り。
だけど今日は隣に彼がいる。

その訳は10日ほど前に遡る。

甘いのが得意ではない義人くんの為に、どんなチョコがいいかあれこれ考えていたものの、
どうにも決めかねてしまって、それならいっそ彼に聞こうと電話を手に取った。

結果、生チョコがいいとリクエストしてもらったけど、
チョコ作りに興味を持ったらしい彼から意外な言葉が…。

「俺の家で一緒に作らない…?」

そんなバレンタインもいいかなと思い、
お互いの休みが重なる日に義人くんの家に行く約束をした―。



いざ準備をして作り始めたはいいけれど、
横に彼がいるという事がこんなにも緊張するとは思わなくて…。

それでもなんとか義人くんに説明をしながら一緒に作業をこなしていく。
何か聞かれて横を向く度に顔が近くてドキドキしてしまう。

チョコを湯煎にかけて溶かしていると、突然顔を覗き込まれた。

「どっ…どうしたの?」

いつになくまじまじと見つめられ顔が熱くなる。
義人くんの手が頬に伸び、指が1ヶ所をすっと撫でる。

「チョコ…ついてる…」

どうやら緊張と作業に集中していてチョコがついた手で顔を擦ったのか、
それともチョコが飛んだのか、いずれにしても顔にチョコがついたみたい。

ほんの少し、薄く伸びたようについているので指で撫でただけでは取れない。
束の間、頬を撫でる義人くんの指が止まったかと思うと、
少し微笑んだ彼の顔が近づいてきて、ペロッと頬を舐められた。

「えっ…よ、義人くん…?」

「取れなかったから…」

ちょっと熱を帯びたような彼の目にドキリとする。

「甘い…けど、このくらいだったら食べられる」

そう一言呟くように漏らすと、今度は唇に触れるようなキス。
触れるだけのものから優しく包むようなキスに変わり、そのまま抱きしめられる。


ハプニング続きのバレンタイン。
甘い香りの中、彼の腕に抱かれるひと時の甘い時間…。




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