VD企画
□オレ流バレンタイン
1ページ/1ページ
JADEのレコーディングの後に私のレコーディングがあり、
そのまま帰ってもよかったのに、終わるまで待っていてくれた冬馬さん。
外で食事をした後、渡すガトーショコラを取りに私の家にちょっとだけ寄ってもらう
。
冬馬さんのリクエストで、チョコに合うという甘口のワインも買った。
「ヒロインちゃんありがとう。すっげー美味いよ!
俺、こんな幸せなバレンタイン初めてだー」
ワインを飲みながら嬉しそうにガトーショコラを頬張る彼。
そんなに喜んでもらえると、作った甲斐があるけど…ちょっと照れる。
ワインが甘いのと照れを隠すのとでちょっと飲み過ぎてしまった。
座っていてもふらふらしている私を見かねて、
「泊まっていきなよ。仕事、明日は休みでしょ?
俺も午後からだしさ」
泊まる事を勧めてくれるけど、まだお泊りはした事がなかったので迷う。
でもこんな状態では無事に帰れる自信がなかったので、その言葉に甘える事にした。
一緒のベッドでドキドキして眠るどころじゃなかったけど、
幸か不幸か何もなく、気がつけば朝だった。
「う…ん…」
二日酔いとまではいかないけど、体がだるい。
なんとか体を起こそうとしたら何かが目の前を通過して、首にひやりとした感触。
「きゃっ!」
それはシルバーチェーンのネックレスだった。
トップに紫の石が揺れている。
「ごめんごめん。びっくりさせちゃったね。
1日遅くなったけど、それ、俺からのバレンタイン」
「冬馬さんから…?」
不思議そうな顔をしている私に、
「海外のバレンタインは大切な人にプレゼントを贈るんだって。
だから俺はヒロインちゃんに」
後ろから抱きしめられ、冷たい冬の空気に温かい体温が心地いい。
その心地よさに身を委ねていると耳元で囁かれた。
「その石、アメジストっていって恋人との絆を深めてくれる石なんだ。
俺らにぴったりじゃない?」
石なんてなくても十分強い絆だよ、という言葉を飲み込んで、
私はただ彼の言葉に頷く。
彼流の優しさに溢れたバレンタインは、ずっとずっと思い出に残るものになった…。