VD企画

□カウントダウン・バレンタイン
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2月13日。
あと15分もすれば日付が変わる、そんな時間。

ちょっとウトウトしかけていると、携帯にメールの着信。
ディスプレイには『一磨さん』の表示。

”起こしちゃったらごめん。
もし起きてたら、今から出て来られない?”

(今から…こんな遅くにどうしたんだろう?)

仕事が終わって会いたくなったのかな?なんて思いつつ、
カタカタと返信を打つ。

”大丈夫だよ”

送信してすぐに

”急がなくていいから”

という返事が返って来た。

急がなくていい…?
そう言われても急がない訳にはいかず、身支度を整えて出かける準備をする。

気が付けば何処で待ち合わせるか聞いていない。
慌てて携帯を取り出しながら玄関を出ると、そこには見覚えのある車。
その傍に立つ人影は…。

「一磨さん?!」

(なんで?どうしてここにいるの?)

訳が分からずあわあわしている私を見て、クスッと笑う一磨さん。

「百面相してる」

「だって…まさか一磨さんがここにいるなんて…」

「ごめんね?ちょっとびっくりさせたかったんだ」

成功、成功なんて呟きながら、一磨さんは腕時計を眺めてカウントダウンを始めた。

「3…2…1…」

次の瞬間、私の前に小箱が差し出される。

「はい」

「これ…私に?」

「うん。最近は逆チョコっていうのがあるんだって?
それ聞いて、ヒロインちゃんにあげたくなったんだ」

思いがけないプレゼントにドキドキしつつ、
お礼を言って受け取る。

「開けていい?」

「うーん…出来れば1人になってから開けて欲しい、かな」

照れくさそうな一磨さんに、

「分かりました。じゃあ後で開けますね」

と微笑むと、頬にチュッとキスされた。

「あんまりここにいると帰りたくなくなるから…。
明日の仕事終わったら、一緒に帰ろう。それまで我慢しておくよ」

悪戯っぽく笑うと、一磨さんは帰ってしまった。

(もう少し一緒にいたかったな…)

ちょっと寂しく思いながら、家に入って箱を開ける。

「ふふっ。一磨さんが1人で開けてって言うはずだ」


中身はテディベアを模ったチョコレート。

ちょっとだけ一磨さんに似ているそれは、
もったいなくてしばらく食べられないかも。
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