Honey Jiro Book

□復讐の希望
1ページ/15ページ

「おらっ!そこ!この位でヘバるんじゃねえ!」

氷帝学園テニス部。整った設備に200名以上の部員がいる強豪校で、今日も部長である跡部景吾の声が響く。

「あ…跡部部長!すみませんっ!」

跡部は入学当初から生徒会長、テニス部部長を努め、生徒達を引っ張ってきた。始めは反発も多かったがそれも次第に慣れ、更に成績もテニスもトップで容姿端麗な跡部を認め、尊敬し応援する声が多くなった。

「ちっ…跡部のヤツ、威張りやがって…」

だが、跡部を嫌いな連中が居なくなったわけではない。
部員が200名もいれば、試合に出られない部員の方が遥かに多い。多くの部員にとって、レギュラーは雲の上の存在であった。彼等はレギュラー陣のプレーを見ると、自分との差に絶望を味わった。自分がどんなに努力をしても絶対に追い付けない、その距離に。何度も辞めようと思った。今すぐラケットを折って、自分には他に違う才能があるんじゃないか、なんて考えた。
それでもテニス部を辞めないのは、彼等の魅力的なプレーが、希望だったからだ。

だが、それでも気に入らないものは気に入らない。圧倒的な力の差を見せ付けられながらも、一部のモブ部員達はどうすれば正レギュラーを見返せるかを考えた。

そしてそれは暗く、恐ろしい方法であった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ