12/05の日記
23:57
ポインセチア:私は燃えている・祝福する
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12月に入れば、街中至る所にクリスマスの賑わいが見えるようになる。
赤や白に加え、ピンクやまだら模様のポインセチアが顔を出し、どれも金色の装飾を施された様は、まさにクリスマスの定番だ。
「素敵ですね。ポインセチアを見ると、12月に入ったんだなって感じますね」
店の軒先に並べられた花を見て、まさに俺と同じことを口にするジュビア。
「確か花言葉は、『私は燃えている』でしたね。言うなれば、クリスマスと言うイベントに向けて、片想いの男女がそれぞれ意中の方と過ごすために、躍起になる・・・といった所でしょうか?」
「あともう一つ、『祝福する』ってのもあったろ」
「そうでした!ジュビアは、グレイ様の幸せでしたら、どんな事でも祝福出来る自信がありますよ!」
「はは・・なんだそれ。」
胸の前で手を握り、力強く主張するジュビアがあまりに可愛くて、イタズラ心が湧いた。
「なら例えば、俺にこの先彼女が出来ても?」
それは軽い冗談のつもりで。
楽しそうに街のクリスマスムードを眺めるジュビアが、俺の言葉にどんな反応を見せるのか見たくて、つい口にしてしまっただけだったのに。
まるで時が止まったかのように表情が固まり、まっすぐに俺を映す目に、俺達を隔てる一枚の壁が見えた。
「そうですね。少し寂しいですけど、グレイ様が幸せなら、ジュビアはそれでいいです」
いつもみたいに、「それは嫌です〜」とか軽く返してくると思ったのに、ジュビアはふわりと笑って答えた。
それはきっと、ジュビアの本心なんだろう。
嫉妬してやきもちをやいたり、俺のそっけない態度に一喜一憂する気持ちの奥にきっと、俺に対する絶対的な愛情がある。
俺がどんな男であっても、例えば俺がジュビアの気持ちに応えられないと言っても、ジュビアの持つひたむきさは変わらない。
俺は胸が締め付けられるように苦しくて、自己嫌悪で、謝る事も訂正する言葉も出てこなかった。
これが逆の立場なら?
ジュビアに俺以外の好きな奴が出来ても、俺は同じように相手の幸せを願えるだろうか。
答えはノー。
それがふざけ合いの延長線のやりとりだとしても、ジュビアが他の男の物になるなんて、想像したくなどない。
「悪かった。今の無しにしてくれ」
馬鹿だ。俺は…
腕をジュビアの後頭部に回して自分の胸に引き寄せると、額をギュっと押しつけながら小さく、「良かった…」と声が聞こえた。
俺はジュビアほど、自分を後回しになんて出来ない。
いつだってコイツの一番でありたい。
自分勝手な言い分だけど、きっとお前はそれすらも許してくれるだろ?
〜終〜
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