09/21の日記

00:03
クズ:治癒
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「そういや、お前いつの間にか左足治ってたんだな」

グレイが思い出したように、天狼島でのジュビアの足の怪我を訊ねると、
ジュビアはにっこりと笑いながら答えた。

「はい!7年の間、フェアリースフィアの中で守られていたお陰で、すっかり良くなったみたいです!」

ジュビアが、「ほら」と、左足を前に出し、健全をアピールすると、
深く切れ込んだスリットがめくれた。
その隙間から覗く、白く滑らかな肌に、
一瞬、見てはいけないものを見た様な気がして、
グレイは、パッと目を逸らしながら「お、おう。良かったな」と返事をする。

「あの時はありがとうございました。」
「あの時?」
「天狼島で、アクノロギアに襲われた時です。ジュビアを連れて逃げて下さって・・・」
「あ、れはっ、!!!」

あの時の自分の行動を思い出して、グレイは赤くなる。
危機的状況での、とっさのことだったが、
あの日肩に乗せたジュビアの重さや、抱えた腰の細さは体が覚えている。
なぜ自分はずっと、ジュビアの安否を気にしていたのか、
自分はなぜジュビアの隣に座っていたのか。

「あれはっ、お前が怪我してて動けねえから・・っ!」

慌てて並べた言葉は、そんな自分に対する言い訳の様でもあり、
内心をジュビアに悟られまいとして、語尾がきつくなった。

「分かってますよ?グレイ様は、仲間を見捨てるような人じゃないですから。たまたま近くに居たジュビアを拾って逃げて下さったんですよね」

ジュビア、ちゃんと分かってますから・・・。

それ以上の感情があって、自分を庇ってくれたわけじゃない。
けれど、必死に抱えて走ってくれたことが嬉しくて。
7年前の事を思い出しながら笑うジュビアは、少しだけ寂しそうにも見えた。

グレイは、唇が勝手に「違う」と否定しかけたが、すぐ意識的に口を閉じた。

何が違う?

どうしてそんな事を口走りそうになった?

天狼島で負った傷は、ジュビア同様に治っているはずなのに、
今、胸が引きつるように痛むのはなぜだろう・・・。

体だけが、グレイの中に起こりつつある変化に正直だった。

〜終〜

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