09/18の日記

23:59
ホウセンカ:私に触れないで
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肩からその指先にかけて滴り落ちる鮮血が、傷の深さを物語っている。
それを右手で抑えたまま、歩きだそうとするジュビアをグレイが止める。

「おい!ジュビア?!待てって!!」
「大丈夫です。こんなもの、痛くなんてありません」

差しのべられた手を避けるように、背を向け、答えるジュビア。

そう。
こんなもの、痛くなんて無い。
力を最大限引き出すことが出来る、雨が降るこの状況で、
怪我を負って、それを心配される事の方が痛い。
強くなければ、自分を苦しめ続けてきたこの体質が、
本当に、ただ呪われただけのものになってしまう。
この力を持って生まれた事に、
意味があると思いたい。
でなければ、なんの為にここに居るのかさえ分からなくなってしまう。

誰かに必要とされたくて。
貴方を守るために、ここに居るの。
同情にも思える優しさは、かえって惨めになるだけ。


体を打ち付ける雨に、潤んだ瞳を誤魔化しながら、
けして振り向くことなく、佇む。

お願い。
優しくしないで。



表情を窺う事は出来なかったが、淡々と話す言葉尻から、
見えない壁を作られたようで、グレイはそれ以上の言葉を無くした。

その心にも触れられず、
傷を癒す力にもなれない自分に、グレイはただ拳を握りしめ、耐えるしかなかった。

〜終〜

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