文
□追う者と追われる者
1ページ/1ページ
「グレイの、『男は追われると逃げたがる』って心理は分かるんだけどさ、グレイは逆に、女の子は押しに弱いってこと知らないの?」
「は?なんだよロキ急に…」
「ん〜アレ。」
ロキが指さす先には、相変わらず強引に食事に誘うリオンと、
オロオロと顔を真っ赤にして、なすがままギルドの外へ連れて行かれるジュビアの姿。
ジュビアの腰には、リオンの腕が回されているが、
当のジュビアは、押しが強くエスコートも上手いリオンに一杯一杯で、
それどころじゃないらしく、抵抗のそぶりすら見えない。
頭の中はまるで真っ白、と顔に書いてあるようだ。
「いいの?グレイ。ジュビアって、さっき言った女の子の典型みたいなタイプだし、場合によってはそのまま最後までいっちゃうかもよ?」
「・・・・。」
「ジュビアもあんな風に思われて嫌な気はしないだろうし、まして普段グレイに大分ムゲにされてるからね。」
「ムゲってなんだよ!」
「だって、ジュビアの気持ちには気付いてるのに、ハッキリとした態度をしてあげないんでしょ?僕から言わせれば、彼女を弄んでる様にみえるけど?」
グレイは、最初口をつぐんでいたが、その場で少し考えると席を立ち、ジュビア達の元へ向かった。
きっとグレイはリオンの手を払って、有無を言わさずジュビアをどこかへ連れて行くだろう。
けれど・・・
「あ〜あ。押しに弱いって言ったって、ジュビアがグレイの気持ちに気付いてなければ、強引にしても意味ないって気付かないのかな・・・。」
はあ・・・。
僕はいつまでグレイとジュビアのフォローをしなきゃいけないんだろ。
鈍感同士の恋愛って、周りがやきもきするなあ・・・。
でも、
それも楽しいよね♪
チャラい外見の割に、友人想いなロキの日々は続く・・・