文
□二人で朝を
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「どこいくんだよ」
軽く寝てしまっていた俺は、ベッドから起き上がり立ちあがろうとするジュビアの物音で目が覚めた。
まだ先ほどの余韻が残っているのか、身体は心地よい気だるさに包まれている。
「えと、そろそろ帰る支度を…」
「まだいいだろ。つーかどうせ明日も会うんだし、もうこのまま泊まってけよ。」
もう何度夜を共に過ごしても、ジュビアは律儀に自分の部屋に帰るため、朝は一人で目覚める。
いつもそれが寂しくて、今日は思わず引きとめた。
「会うとは言っても、一緒にお仕事ですよ?行く前にギルドにも寄らなければいけませんし。」
「ここから行けばいいだろ。」
キャミソール姿のジュビアの腕を取ると、着替えようとその手に持っていた服が床に落ち、シーツからすらりと色白の素足がのぞいた。
それを目にしたジュビアが、あわあわと恥ずかしがりながら答える。
「あわわ・・っ!でも、でも、あの、グレイ様もお疲れでしょうから、ジュビア帰りますっ!」
「お前はそんなに帰りたいのか?」
なかなか折れ無いジュビアに、俺は少しあきれて、わざと意地悪な物言いをした。
「そんな!ジュビアはもっとグレイ様と一緒に居――っん…!」
ジュビアは慌てて否定したが、そんなこと聞かなくても分かってる。
俺は強引にジュビアの唇を塞ぐと、そのままベッドに引きずり込んだ。
「なら決まりだな」
こうして俺は、俺達は、初めて2人一緒の朝を迎える事となった。
次の日、俺と同じシャンプーの匂いをさせ、
昨日と同じ服のジュビアを見たギルドのメンバーから、
やかましい程冷やかされたのは言うまでもない…。