◆頂いた作品◆

□30000hitに寄せて〜好きな人は誰ですか?〜
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ジュビアは、一人、温泉に浸かりながら伸ばせるだけ、思いっきり手足を伸ばす。
蒼い空には、時折小鳥が飛び交い、そよぐ風は冷気を含んでいたが、
温泉に浸かっているため、まったく気にならない。身体がポカポカしてくる。
ジュビアの白い肌は、淡い桜色から少し濃いめの桃色へと変わっていた。
湯の中の自分の身体をマジマジと見ると、
凄く細かな気泡が膜の様に全身を覆っている。
その気泡が身体を包み、傷を含めて癒してくれているのだと解る。

“はぁ、ちょっとくすぐったいけれど、本当に気持ち良い♪”
しばし、うつらうつらとしてみるものの、ふと我に帰る。
“そう言えば、ガジル君とレビィさん、何処に行ったのかしら?”
ギルドの屋根を直さなきゃいけないから、先に帰るって言ってたけれど・・・
『とっておきの護衛を連れて来るから、それまでゆっくりあったまっててね♪』
そう言って、楽しそうに笑ったレビィを思い出す。
“・・・まぁ、一人でも帰れるし、もう少しあったまりましょう♪”
ジュビアはそう思いながら、岩にもたれて、またうつらうつらとし始めた。

その頃、ガジルとレビィは山の麓まで降りてきていた。
「チビ、ギルドは逆方向だろ?こっちに何があんだ?」
事情を聞かされずに連れて来られたガジルがしゃべる。
「何もないよ♪ただ、あたしの記憶が確かなら、仕事終わってそろそろ・・・
やっぱり、居た♪♪」
レビィが、おーい、と嬉しそうに手を振る先を見れば、
朝、仕事に出掛けて行ったグレイ達のチームがこちらに向かって歩いて来ていた。
「あっれぇ、レビィちゃん?どうしたの、こんなところに・・・
もしかして、デェト??♪」
ニタリと笑ってそう言うルーシィに、
「ち、違うよ、ルーちゃん!実は、ジュビアがギルドで怪我をして、
療養のために、すぐそこの温泉に連れて来たの。」
レビィは、事の経緯をみんなに話すと、
「ガジルは、これから帰ってギルドの屋根を直さなきゃいけないから、
誰かにジュビアの護衛を頼もうと思って・・・♪」
そう言いながら、グレイの方をちらりと見る。
「そうね、護衛って言っても一人で良いだろうから、
グレイ!あんた、行って来なさいよ♪」
そう言うルーシィはまたしてもニタリと笑っている。
「あ?何でオレが?関係ねぇだろ。」
しかめっ面をして、そう言うグレイに、
「そう言えば、さっき温泉の場所からここまで降りて来る時に
ラミアのリオンとすれ違ったよね?ガジル。」
と、レビィがカジルの名を呼び、不意に名前を呼ばれたガジルは、
「あぁ?んな奴、居なかった・・・いや、すれ違ったかも知れねぇな。」
グレイからは見えない所をレビィにつねられ、ガジルが言い直す。

“今回は全面的にガジルが悪いんだから、ちょっとはジュビアに協力しなさいよ!”
“ふざけんな!なんで俺がそんなことまでしなきゃなんねぇんだ!”
イカレてるぜ!そう言って、ガジルはそっぽを向く。
だが、リオンの名前を聞き、グレイの顔が一瞬曇ったのをレビィは見逃さなかった。
しめた!とばかりに口を開いてトドメを刺す。
「あ、あと、あの温泉、混浴なんだよね♪」
その言葉を聞くやいなや、グレイはチッと舌打ちして走り出していた。

「・・・一応、マグノリアで水着買ったよ、着たかどうかは解らないけど・・・
って、もう聞こえないよね。
ホント、素直じゃないんだから。」
「ホントよね・・・」
そう言って、苦笑いしながら頷くレビィとルーシィだった。
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