◆頂いた作品◆

□恋に患う
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『愛してる』

その一言がどうしてこんなにも難しいんだ。


「グレイ様!今日こそははっきり言ってもらいます!グレイ様はジュビアのことを……どう想っているんですか!?」
「…………ウルに負けねぇくらい……大切な女だと想ってる」
「それではわかりません!ジュビアはきちんとした言葉で聞きたいんです!」
「……ジュビア」

このところ―ロキとルーシィが婚約してから―ジュビアと繰り返すのはこんな会話ばかり。
こいつの欲しい言葉はわかっている。
後は自分の男気ひとつ……なのだが、どうしても言葉が出てこない。

折しも今夜は満月。
美しく神秘的なその光に照らされてグレイはふと、親友の星霊に無理矢理押し付けられた本のことを思い出した。その本には遥か東の国の偉人の言葉が書かれていた。

「ジュビア……つ、月が綺麗だな?」
「いつもと同じ満月だと思いますけど?」
「…………」

残念ながらジュビアにはその偉人の言葉の意味は伝わらず、哀れグレイはギルド最強の女騎士に怒鳴られてしまうのだった。

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