情愛ロマンチカ!?

□其の六
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 キスをされていたからだった。

「・・・・・・・・・・」

 秋彦は驚きのあまり、そのまま硬直してしまっていた。
 なぜキスされているか。は措いて、

 自分の前には、PCしかないのに、机の先には壁しかないのに、
 どうして、ひとがいるのか。

 が、秋彦の疑問だった。

「・・・・・・・・」

 秋彦が疑問について考えていると、相手は離れて、いぶかしげなかおをした。
 離れて、やっとどんな人物かわかった。が、
 秋彦には理解できなかった。

「・・・・・・・『秋彦』?」
「分かるのか、『藤堂秋彦』だって」
「まぁ。・・・それしか考えられない」
「逆に分からないと思っていたんだが・・・・」

 どうして、自分はいきなり出てきた【この次元】にいるはずのない人物と会話が出来ているのだろうか。
 元から落ち着いているとしても、こんなありえない状況なら、普通の人間は驚いてあわてたりするのだろうと思う。だが、秋彦は一時は驚いて硬直してしまったが、それからすぐに行動にうつった。

「分からないことはないだろう。外見も声も変わらないんだ」
「だから、自分の創作人物だと思ったのか?」
「ああ」
「・・・・・・・・・・」

 質問を簡単に回答されていき、『秋彦』はきっと内心つまらない、とでも思っているのだろう。
 秋彦は、とりあえず『秋彦』が近いので、席を立って、ソファに向かいながら、
 今度は自分から、と秋彦は問うた。

「なんでお前がここにいるんだ」
「それは、呼ばれたから」
「呼んでいない」
「いや、呼んでいただろう」 
「だから、呼んでなんかいない」

 実際、自分は呼んでなんかいない。ただ、あのときの人物が誰か知りたかっただけだった。
 そんな文句を心の中でつぶやいていると、『秋彦』がまた苦い顔をしていた。

「何」
「いや・・・・キスのことは訊かないのか・・・とおもって」
「・・・・・・・・・・・・・」 
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・ああ」

 忘れていた。
 そういえばそんなこともあったなと、秋彦が思い出していると、

「もう一回」
「え?」
「もう一回していい?」
「なんで」
「なんでって・・・・・・」

 意味が分からない。と頭に疑問符を浮かべていると、

「!?」

 『秋彦』がソファに押し倒してきた。

「なんだよ」
「何って・・・・・」
「・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・」
「―――――――!」

 答えを待っていた秋彦だったが、答えは返ってこないまま、キスを落とされてしまった。

「お前・・・っ」
「キスした感想が訊けないなら、もう一回するもんだろ」
「・・・・・・・・・」

 それはする前に云うものだろう。
 又文句を心の中でつぶやいていると、『秋彦』が顔を近づけてきた。

「感想くださいね。宇佐見先生」
「・・・・・・」

 今の気持ちを表すなら、
 『怒りマーク』と「イラッ」という文字
 で表せられる。
 それと、なにかさっきとは違う違和感があった。理由はすぐに分かった。

「・・・・おい」
「はい」
「なぜいきなり敬語なんだ」
「思ったんですけど、『俺達』の生みの親は宇佐見先生ですので、こっちのほうがいいかと」
「逆に嫌だ」
「じゃあ、なおさら」
「はぁ!?」

 そんな会話の中、秋彦が話しているのを聴きながら、『秋彦』はどう考えても何かをやらかそうとしている。

「とりあえず、そこどけ」
「何でですか」
「邪魔」
「・・・じゃなくて、組み敷かれているのが嫌なんでしょう?」
「っ・・・・・・・俺が・・・」
「はい?」

 吹っ切れてしまったのか、秋彦は思いをぶちまける。

「俺が下なのは納得いかんっ」
「納得いってくださいよ。俺のほうが下なのはおかしいです」
「なんでだよ」
「どう見ても・・・」
「・・・・・・・?」

「宇佐見先生が可愛いから」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

 T大主席卒業した宇佐見秋彦でも、分からないものがあるのだな。
 ・・・・・なんてアホな事を考えていると、

「・・・・!ちょっ、お前!だからっ―――」
「俺は、変えませんから」
「ふざけるなっ」
「大真面目です」
「このっ・・・・・!」

 『秋彦』はするりと秋彦の攻撃をかわすと、又キスを仕掛けてきた。
 けれど秋彦は、

「俺だって、だまって流されるわけにはいかない」
「・・・・・・へぇ」

 わざと位置をずらして、『秋彦』の唇をかんでやった。
 ところが、

「宇佐見先生」
「なんだよ」
「それ、余計に煽るって、知ってますよね」
「は?そんなつもりは――――」
「無自覚なんて、みんなするものですよ」

 『秋彦』は聴く気がないようだった。

「だから――――」
「うわぁっ!」
「「!?」」

 口論の中、突然物音とともに、PCから何かが出てきた。

「いきなりはダメだってぇ!」
「はは、ごめんごめん、次からはちゃんと・・・・・・・」

(美咲?!)

 今、『秋彦』と『美咲』(?)が目があった気がした。

 目が合ったほうが、『美咲』なら、

 そこでうずくまっているのは・・・・、


「・・・すーちゃん?・・・・・そっちに何か・・・・・・・・・・・・・・・」



「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」




「み・・・・・・・美咲?」
「は?なんでそこに・・・・・」


To Be Continued・・・・・・
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