情愛ロマンチカ!?
□其の十
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・・ねぇ、秋彦さん。・・・一つ云っていい?」
「何?」
部屋から追い出され、とりあえず離れるべきか、と二人で歩いている中、美咲が秋彦の前に回って、
「・・・・・・秋彦さんは隠してるつもりだと思うけど、俺知ってるんだよ」
「・・・何を」
美咲は背伸びをして、秋彦の耳元に口を近づけて云った。
「――――――って。」
「っ!」
秋彦は後ずさりして、美咲のことを見つめる。
どうして、何で、とでも云いたそうな雰囲気だ。
それを察してか、美咲がにっこりと笑みを見せながら云った。
「なんでって?そりゃあ、いきなりいなくなるんだもん。気になってついていったんだよ。気づいてなかったでしょ」
「・・・あ、ああ・・・」
秋彦がこんなに動揺して、顔を少し赤らめている姿なんてなかなか見られたモンじゃない。
美咲は嬉しくなって満面の笑みで、自分の本心を伝える。
「ねぇ、秋彦さん」
「・・・な、に・・・?」
「俺別に怒っても悲しんでもないよ?ただ俺は・・・」
「・・・・・」
「見てて面白かった。かな?ふふ。」
ときたま見せる、この笑顔が秋彦にとっては恐怖――というのが一番合うだろう――だった。
美咲は秋彦を凍らせるような笑顔で云う。
「ねぇ、秋彦さん。俺いいこと思いついちゃったんだ」
「え?」
「あのね―――――」
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