カゲプロ


□白い世界にサヨナラしよう
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※死ネタ注意


学校のセキリュティというのは思った以上に緩いらしい。
拍子抜けする程簡単に入れた校舎はただただ白かった。

たん、たん、たん。
埃の積もった階段をゆっくり上がる。
ガチャリ。
重たく錆び付いた扉を押すと秋の冷たい風が体を刺した。

学校の屋上ってよく恋愛スポットみたいに扱われるけど、実際は埃っぽくて寒くていいことなんて何もない。
確か昔もそう言ったっけ。
そしたらあの娘に『夢がないなぁ』って呆れられた。
少し前もそんな話をした。
あの人は何て言ったんだったかな。
そうだ、『なら二人でいいとこみたいにしちゃえばいいんだよ』なんて笑いながら言っていた。
あの時よく解らなかった言葉の意味は、聞けずに今も解らないまま永遠の謎として残ってしまった。
あの人は一体どんな意味を込めて言ったんだろうか。
逢ったらそれを聞くのもいいかもしれない。
そう、そんなたわいない話をたくさんしよう。
二人でずっとじゃれて笑って過ごそう。
低い柵を乗り越えて立つ。
風は相変わらず冷たく吹いていた。

気づかず閉じていた瞼の裏に、暖かい黒が映る。
この世界にはもうない一つだけの黒。
黒の失くなった、色の失くなったこの世界はオレには白すぎて。

白はもう見飽きた。
さぁ、懐かしい黒に逢いに行こうか。


飛び下りて見上げた空は泣きそうな黒だった。



END



―あとがき―

ようやく書けました暗い話!←
ずっと書きたかったのに書けなくて
勢い30分クオリティの小話ですが私的には満足です!(笑)

補足を入れますと。
カノが任務か何かが原因で死んで、シンタローがカノがいないことに耐えきれなくなって後追い自殺、みたいな感じです
途中出てくるアヤノちゃんは特に何でもないです←
敢えて言うなら私の趣味です←
死ねただから入れたいなーぐらいの気持ちで入れました(黙

次はカノ視点の別の話でもっと複雑に書きたいです
感情表現って難しい…

それでは読んでくださってありがとうございました!                            

 

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