カゲプロ


□如月シンタローの憂鬱
2ページ/2ページ



視線が痛い。

オレを引きずってきた楯山先生はオレを教室に放り込むなりどこかへ行ってしまった。
オレが学校(の前)まで来たのは朝早かったため教室には少しの人数しかいなかったのだが、それでも向けられる視線は痛かった。
今は時間も経ってかなり人が増えている。
今なら視線だけで死ねる気がするレベルだ。
こうなる前にさっさと教室を抜け出したかったけれど、楯山先生とオレを朝早く校門まで引っ張ってきてそのまま放置していった妹が怖くて無理だった。
情けないとか言うな、あいつも笑顔なのに目が全く笑ってなかったんだよ!
…というか、一度教室を出たら戻って来れない自信がある。
結局二人に見つかって怒られるだけだ。
もう学級名簿は食らいたくない。
オレは増えていく人の目と怒られた時の想像に青ざめながら席で小さくなっていた。

もうすぐチャイムがなる。
人数も随分増えた。
視線が痛すぎてもう泣きたい。
唯一の救いは両隣の席の奴がいないことだろうか。
ハァ、と溜め息を吐く。
その時ガラッと教室のドアが開いた。
もう一人二人増えたところで大して変わらない。
そう思ったオレは顔を上げなかった。
――その入ってきた奴らがオレの隣に座るまでは。
両隣からがた、と椅子を引く音が聞こえて思わず顔を上げる。
オレが右、左と見ようとする前に今日初めてのクラスメートの声がかけられた。
「あれ、見慣れない子がいるね。転校生?」
「え、あ、いやオレは…」
「あ。もしかして如月くんじゃないっすか?」
「そ、そうだけど…」
オレの右に猫目、左にピン留めをつけた男子が座っている。
真横から交互に話しかけられる上に初対面の人との会話でもうどちらを向けばいいのか分からない。
しかも二人ともやたらイケメンだ。
溢れるイケメンオーラがオレを貫いていく。
もうやだ家帰りたい。
涙目になりそうなオレをよそに会話は続けられる。
「初めましてだね。僕まともに顔見たのも初めてかも」
「俺もっすよ。テストだけ来てるっすよね。しかも全教科満点」
「そうそう。学校来ない天才がいるって噂になってたし」
「皆気になってるみたいっすね。やたら見られてるっす」
「え、えと…」
「しかも如月くんまさかの美人だし」
「ガリ勉系かと思ってたら全然違ったっすねー」
「…は…?え?」

ただでさえ会話についていけないのに更に意味の分からないことを言われた。
美人って何だ、オレ男なんだけど。
オレが眉を寄せても二人は気づかないのか話を続ける。
「男子の熱視線がすごいっすね」
「女子もいるよ。これは如月くん明日から猛アタック受けるんじゃない?」
「は?ちょっと待って、オレ男なんですけど…」
「自覚なしか」
「ヤバいっすね」
本気で理解できない。
え、ここ日本だよな?
しかし、オレはこの後更なる爆弾が落とされるなんて知らなかった。
「ところでセト」
「何すかカノ」
「僕も如月くんにやられたっぽいんだけど」
「奇遇っすね、俺もっす」
「じゃあ善は急げってことで」
「そっすね。…如月くん」
「は、はい…?」
「「僕(俺)と付き合ってくれない(っすか)?」」
「……………は?」
あれ、オレ今なんか言われた?
信じたくないけど、ほんと信じたくないけど何だか告白みたいなセリフだったような…?
「"みたい"じゃなくて告白ね」
「何で分かって…」
「顔見てたら分かるっすよ」
「っ!…何でオレなんか…?」
「んー。一目惚れ?」
「右に同じっす」
困ったように笑う二人に少し胸がきゅんとなったのは気のせいだと思いたい。
これはあれだ、イケメンオーラがオレをおかしくしてるんだ。
「…オレ男」
「しつこいっすよ?好きになったのは変わらないっす」
「で、返事は?」
「返事?…あぁ」
告白されたってことを忘れてた。
男から告られるって正直ものすごく複雑だ。
イケメンだからまだマシなんだけど。
「…悪いけど、オレノンケだから」
これで諦めてくれるといいんだが。
ていうか男が男に一目惚れとか有り得ない、絶対気の迷いかからかいだろ。
せっかく顔はいいのに勿体無さすぎる。
「そっか。じゃあ落とすよ」
「は?」
「別に男を好きにならなくても俺を好きになってくれればいいっす」
「…え、え?」
まさかの答えが返ってきた。
え、マジで?
嘘だろ?
オレが狼狽えているとそれぞれガシッと腕を掴まれた。
「てことでガンガンいくからね、シンタローくん?」
「覚悟しといてください」
「え?…ええぇぇえええぇぇ!?」
「びっくりしてる顔も可愛いっすね」
「キスしていー?」
「、え、あ…いいわけねぇよ!!」
カノとかいう猫目が寄って来るのを防ぐと後ろからセトって奴が抱きついてくる。


そしてオレが今までで一番力を出したんじゃないかと思える攻防は、担任に殴られるまで続いたのだった。

――オレの新学期は一体どうなるんだ。

やっぱり学校なんて来たくない。
カノとセトを殴りながらそう思ったオレだった。



END



―あとがきという名の言い訳―

セト→シン←カノでしたー

…何が書きたかったのか私も忘れました←
確かギャグ…学パロギャグが書きたかった気が…します…
ケンジロウ先生書きたくて無理やり入れた辺りからぐだぐだです
攻め2人がただの残念な子

私がギャグとか無理だと分かりました
何これ超中途半端…
そして段々長くなるこの言い訳スペース←

もう色々とひどいですが読んでくださってありがとうございました!
                            

前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ