カゲプロ


□その攻撃は不意に
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「…あれ、セト?」
商店街に買い出しに出されたその帰り。
抱えた紙袋の陰から見えた普通の花屋で見慣れた長身を見つけた。
少し驚いて店の手前で立ち止まる。
花屋でバイトをしているのは知っていたけど、こんなに可愛らしい店だとは。
しかも客もけっこう入って繁盛しているようだ。
笑顔で客と談笑する、見慣れた人間の見慣れない姿になんとなく戸惑いを感じて、しばらく立ち止まって眺めていた時。

「?シンタローさんじゃないっすか?」
不意に声を掛けられた。
「!あ、ああ」
声を掛けられて無視という訳にはいかないので、そろそろと近づく。
オレに笑いかけるセトはいつも通りのセトだった。
「買い物っすか?」
「ああ」
「荷物重そうっすね。もうバイト終わるからちょっと待っててくれますか?」
「いいのか?」
「もちろん!店長、オレもう上がっていいすか?」
「いいよ。お疲れー」
「お疲れ様です。じゃ帰りましょ、シンタローさん」
歩き出した途端、断る暇もなく荷物を奪われた。
バイト帰りで疲れてるのに申し訳ない。
「…荷物はオレが持ちたいから持ってるんすからね」
「え?」
「バイト帰りなのに荷物持たせてる、とか思ってたでしょ」
「それは…」
思っていただけに反論出来ない。
「でも、疲れてるだろ?」
「これくらい平気っすよ」
ぱぁっと笑うセトに何故か頬が熱くなった。
今日のオレは少しおかしいらしい。

アジトに着いてからもオレはちらちらとセトのことを見ていた。
エネに呆れられるくらいに。
昼間見たセトが頭から離れない。
店員や客と笑顔で話していたところとか。
重そうな鉢を持ち上げていたところとか。
細やかにブーケを作っていたところとか。
新鮮な光景になんだかドキドキする。
ぼんやりと考えていると誰かに話しかけられた。
「シンタローさん。ちょっと勉強見てくれないっすか?」
「あ、セト。どれ?」
「ここっす」
「これは――」
セトに問題の解説をしている間も頭は別のことでいっぱいだった。
…近い…!
ソファに座るオレの横にセトが座ったからか太ももとか腕がくっつく。
それが気になって仕方がなかったオレは、解説が終わると走るように部屋へと逃げた。

「…ほんと何なんだ…!?くそっ…熱い」

セトが薄く笑いながら逃げるオレを見ていたことをオレは知らない。
END



―あとがき―
初のセトシン小説でした^^
うまくできているでしょうか…?
というかセトがシンタローを落とす話ですね←

我が家のセトは基本的に黒いです。
大体のことは確信犯でやってます
考えててちょっと怖かった←

お読みいただきありがとうございました!                            


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