カゲプロ


□儚く強い光の中で
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「――なぁ、花火やんね?」

「花火…!?楽しそう…!」
「花火か」
「いいっスね」
「やりたいです」
「そんなにいっぱいあるの?」
「あのお兄ちゃんが自分から花火とか言い出した…!?」
「進歩かな?」
『ホントそうですよね』
「モモとカノとエネ、やらせねーぞ」
他の団員達は好反応を返したというのに、暴言を吐いた奴らは一体オレをどう思っているのか。
溜め息を吐きつつ持ってきた紙袋を掲げ上げる。
「倉庫から大量に出てきたんだよ」
かと言ってオレもモモもそんな年ではないし、悲しいことに誘う友達もいない。
それでメカクシ団に持ってきたのだ。
「じゃあ今夜にでもやるか?」
「やったぁ!」
今までになく嬉しそうなマリーを見て、持ってきて良かったかなと少し思った。

キャイキャイ声の響く夜の路地。
マリーとモモは花火を振り回しながら笑い、キドも珍しく笑っている。
コノハとヒビヤは静かに線香花火。
エネはモモのケータイに、セトは微笑みながら女子達(特にマリー)を見ていた。
オレも最初は混ざっていたが、少し疲れたので皆を離れて眺めていたカノの隣に並んだ。
「楽しそうだね」
「ああ。カノはいいのか?」
「うん。見てるだけで十分だよ」
「そうか…。あ、バケツいっぱいだな」
大量の花火を一気に消費しているからか、バケツは燃え殻でいっぱいになっていた。
「オレ、取ってくる」
「僕も行くよ」
セトに少し戻ると伝え、短い道のりを歩き出す。
歓声を背後に、周りがやけに静かに感じた。



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