Get&Gift
□猫と電子レンジ
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蝉が煩い。とても煩い。しかも最高に暑い。溶けそうだ。もし溶けたらキド達は自分に気づいてくれるだろうか。道路に溶けたまま放置されそうで怖い。
なんとか溶けないでスーパーに着いたカノだったが、節電がなんちゃらなんちゃらでスーパーの冷房は28℃設定だという。
余裕に30℃上回っている外よりかは涼しいが、常に部屋の冷房が21℃設定のカノにとってはまだ溶けてしまいそうな温度だ。
無事買い物も終わり(アイスもちゃんと買った)スーパーを出るとやっと中の方が涼しい事に気づく。
これでは自分もアイスも溶けてしまうと思ったカノは、基地に帰るまでの間にアイスを食べてしまう事にした。
ペリ、とチョコアイスバーの袋を開け、一口かじる。アイスはもうすでに少し溶けていた。でもまぁ冷たいので、そこは許すとする。
ちょびちょびアイスをかじりながら人通りの少ない道を歩いていると、上からニャアと猫の鳴き声が聞こえた。家と道を区切るレンガづくりの塀の上に、黒い猫が一匹カノの歩調に合わせて歩いていた。
するとまた下からニャアと鳴き声が聞こえ見てみると、灰色と白の猫がいた。
カノの猫目に引きつけられやってきたのか、アイスを狙っているのか…
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シンタローとセトはカノ遅いねーと言いながら基地にあったアイスを食べていた。一旦休憩だ。
すると急に出入り口の扉がバンッと思いっきり音をたてて開き、カノが走って来た。
「あ、カノお帰「嫌だ嫌だ助けてー!!」
なんのこっちゃと思い扉を見ると、色とりどりの猫5匹が基地に入ってきた。
「あー!ちょっと!」
「ね、猫ぉおおぉッ!!??」
シンタローはソファーの後ろに急いで隠れた。カノはついてくる猫から基地の中を必死に逃げている。
「セ、セト!助けて!こいつら僕のアイス奪ったんだ!だから思いっきり睨んだらめっちゃ集まってきた!走ってもついてくんの!」
「猫は遊んでほしいって言ってるっす!だから猫と一緒に早く外出て!部屋が汚く「ぎぃあぁあぁぁああぁッ!!」
叫び声が聞こえた方を見ると、シンタローが2匹の厳つい猫に引っかかれていた。
「嫌嫌嫌ッ!たたた、助けてセトさぁーんッ!!」
「あーもう!!全てカノが悪いっす!とりあえず猫5匹引きつけて外出てカノッ!!」
「嫌だ暑いもん!!」
「とりあえず出ろ!!」
カノは嫌嫌言いながらもなんとか猫5匹を連れて外に走って出て行った。
セトは開きっぱなしの扉を思いっきり閉めた。
「はぁ〜…」
「何なんですか今の…」
「カノは猫目だからか何故か昔から猫に絡まれる事が多かったんすよ。最高10匹以上の猫がカノについてきた事もあったっすね。いつもどの猫もカノに遊んで遊んでって言ってるんすよ」
「確かにあの人全てが猫っぽいですね…昼ぐーたらしてる所とか…」
「だって眠いんだもん」
シンタローとセトが振り返ると、頬にひっかかれた後があるカノが腕を組んで立っていた。どうやら裏口から入ってきたらしい。
「カノお疲れっす」
「本当だよ…せっかく買ったアイスが…って、2人共こんな涼しい所でアイス食べてたの!?酷い!」
「だってカノさんの帰りが遅いから…」
「カノだって食べたじゃないすか」
「ほとんど猫が食べた!」
セトはカノを無視し、苦労して買ってきた材料を手にとった。
「じゃあ、後はシンタローお願いっす」