目を剥いて掛けた話
□第23話
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「そういえばさっきキサラギの兄貴さんって言いづらくないかーとか言ってたけど?」
カノが【エネちゃん】に尋ねた。
「あ、はい!ご主人は一応如月伸太郎っていう名前があるのでシンタローって気軽に呼んでくださるといいと思います!」
いいのかな、本人から聞かなくて……
いいんだよね、流れ的に。
『えっと、とりあえずこれからなんだけど、まず夕飯食べよう』
話を切り出すとちょうど数名のお腹が鳴った。
もちろん私も。
『こんなわけだしね。キド、お願いできる?』
「ああ、構わん」
うわーいありがとーと抱き着こうとしたら先に行動が読まれてたらしく惜しくもその行為は阻止された。
『……じゃあ作ってもらってる間は手伝い又は風呂にしようか。キサラ……』
そうだ。
今更だけどキサラギって言うと二人いるのか……
『キサラギ、モモって呼んでもいいか?』
「ぜ、是非!!」
こちらとしては普通に聞いたつもりだったのだがモモはぐいっとこちらに迫ってキラキラとした顔でそう言った。
『お、おう。えーとモモの着替えはまたキドのを貸すから安心して使って』
「はい!ありがとうございます!」
『風呂の順番は……あーとね、時間短縮のために複数人で入ってもらうとして、マリーとモモ、次にカノ、入れたら私ってことでいいかな?』
全員が頷いた。
『じゃあ行動開始!!』
この後無事キドと私を除く三人が風呂に入り、夕飯を食べ、私たちも風呂に入って一休みをしていた。
「さっき部屋に戻ったんだけどシンタローまだ起きてなかったよ」
マリーがふと思い出したようにそう言った。
「一応看ていた方がいいと思うんだが、皆疲れてるだろ?」
キドが声をかけると皆がそれぞれに答えた。
「そうですね……私は結構疲れちゃってます」
「私も……久しぶりに外に出たから」
「僕は全然!」
「お前眠たそうにしてるじゃないか。こういう時くらいは欺くなよ」
キドに疲れていることがバレていたようで、そうツッコまれると、カノは素直に従った。
「う……じゃあお言葉に甘えて」
『あ、私シンタローのこと看とくよ?今日午前中寝たせいでそんなに眠くないし』
「じゃ、頼んでもいいか?」
キドは少し躊躇いがちに私に頼んだ。
『もっちろんだよ、キド!キドの頼みなら何でも聞くよ!!例えカノを殴ることでも!!』
「え、ひどい!いじめじゃん、DVじゃん!!」
『例えと言ったろう?何かされるような心当たりでもあるのかい?』
「例えに持ってくるのがおかしいんだよ!」
「そうだぞクオ。仮にもコイツだって人間なんだから」
「仮にもって何!?仮にもって!?」
ツッコミ役って大事だよね。
漫才楽しや。
『じゃあ、おやすみ』
皆がそれぞれに挨拶して床に着きに行った。
私はマリーと共にマリーの部屋へ向かった。
『おーおー、何とも気持ち良さげに眠ってらっしゃるね。マリー何処で寝んのさ』
「うーん床?」
『いたいけな少女を床に寝させるだなんて此奴何て外道な……!!』
ほろりと涙を流すような仕草をしていると、マリーが私の服をクイクイッと引く。
『あんだい?マリー』
「少女って十歳辺りの子供じゃないの?」
『え、そうだけど?』
「私もっといってるから少女じゃないよ……?」
『……………………おん。そうか』
「うん」
うん?まあ、いいか……いいのか?
『敷布団持ってくるから待ってなさい』
「わかった!」
フンフンと鼻歌なんぞ歌ってご機嫌のようだが、あんな顔して少女の形容はアウトなのね。
お姉さんびっくりだわ←
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