目を剥いて掛けた話
□第16話 時間切れでも健在
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『チッ……やっぱり遅かったか……ッ!?』
「おいクオ、上!!」
反射的に上を見るとちょうどシャッターが真上にあり、今から落ちるのかガコッと音がした。
『嘘っ!!って危ない!!』
目の前の現状に呆然としているマリーとキサラギが目に入る。
キドはマリー、私はキサラギの腕を掴んでフロアの奥へ引っ張り込んだ。
その勢いで四人が床に倒れこんだ後、先程立っていた場所にシャッターが落ち、エレベーター側の空間とこのフロアの空間とを隔てる壁と化した。
「おい!大丈夫か?」
『私は大丈夫。キサラギは?』
「な、なんとか……!マリーちゃんは大丈夫!?」
マリーは今の状況に恐怖し、ガタガタと震えている。
すごいな。
私ら(マリー以外)全員他人の心配してたぞ。
会話がリレーみたいだったよ。
ってこんなこと考えてる場合じゃなかった。
『とりあえず……場所移動しようか』
「そうだな。じゃあそこの通路に入るぞ」
小さな通路に移動し三人で座り込み、私は立って周りの様子を伺っていた。
「マリー落ち着け、大丈夫だ。向こうは俺たちに気づかない。ただ……」
ところどころで悲鳴が上がり、人々は逃げ回っていた。
追っているのはあの軍服君達だ。
『まずいねぇ……軍服から嫌な予感してたけどこいつらテロリストかな?手慣れてるし、さっきの様子からして計画は周到。今このフロアにいる人間は人質ってところかね……』
「お兄ちゃん……!!」
今は危ねぇってのに自分の兄を助けに行こう思ったのかキサラギはこの通路から出ようとした。
『待てキサラギ!!カノが向こうに行っている。今お前が出ていっても捕まるだけだ。ただでさえお前の能力は人の視線を集めるんだぞ』
「でも……!!」
まぁ、キドが行けば問題ないっちゃないけどさ。
ってキサラギ何!?泣いちゃう!?
キサラギの目には涙が溢れていた。
『え……ちょ……うん。ごめん。言い方キツかったね。マジごめん!だから泣かないで?』
私は人にうまく説得する才能は無いらしい。
キドにへるぷみーの視線を送ると、
「キサラギ!とにかく落ち着け。人質ってことはすぐに殺されたりしない。とにかく状況がわからないと、むやみに突っ込んでもしょうがないだろ?」
ヘルプしてくれました。
わーお。
キド説得うまっ!!
姉妹のはずなのにどうしてこうも違うんだろうね。
私は不思議でたまらないってか。
腹違いだからかな。
まぁそういうことで。
「はい……すみ……ません……」
キドのヘルプも空しく、キサラギの目からは涙が次々に溢れ出てきた。
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