目を剥いて掛けた話

□第15話 見かけて離れて遭遇
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「マリーちゃんあと一段だよ!頑張って!!」

「……う、うん……!」

そしてマリーはその一段を上った。

「やっと七階に着い……!たあぁぁ……」

キサラギのテンションはMAXになりかけたが、エレベーターから出てきたキサラギ兄の登場に一気に落胆した。

『キサラギ、今のお気持ちは?』

ふざけて聞いてみたら

「もし、ロマンスの神様が今ここにいたら全力で殴り倒してやりたいです……!」

すごい答えが返ってきた。


「っていうか機種変更のときってどうするんですか?見えないままじゃできませんよね?」

自分の兄を気にするのを止めたのか話題を変えてきた。

『そのときはキドに能力を緩めてもらえばいい。そうしたら認識される』

「へ〜……え!?認識されて大丈夫なんですか!?」

『大丈夫。認識されるったってどんな顔だったか思い出せないただの客の一人って感じだから。な、キド』

キドのほうを向き確認する。

「ん、ああそうだな。」

「じゃあさっさと買っちゃいましょうよ!」

「でもお前の兄貴は別だ」

「へ……?」

「ただでさえ多くの時間を共有してきた親族には、少しでも存在感が高まって認識できるようになると気がついてしまう可能性があるんだ」

あ〜そんなこと聞いたことあるようなないような……

……あ、さっきのカノみたいな感じってことか。

聞いたことっていうか見たことあるじゃん。

「お兄ちゃん鈍感だから気づかないと思うんだけど……」

へぇ〜、キサラギ兄って鈍感なんだ。

『まぁ、念には念を入れてってことでキサラギの兄貴さんが帰るまで様子見たほうがいいと思うんだけど、どうする?』

「そうだな。それでいいか?キサラギ」

「……わかりました」

ちょっと不服そうだが納得してくれたようだ。


そんなこんなで現在手榴弾のようなポットの前で挙動不審なキサラギ兄のログアウト待ちである。




「なんでこうなるかなぁ……」

人通りの少ない通路に五人並んで立っているときふとキサラギが呟いた。

携帯の機種変更という任務の下デパートにきたメカクシ団一行は、たまに通る客にぶつからないようにかわすという、とても簡単な作戦を敢行していた。

これホントひま。







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