目を剥いて掛けた話

□第13話 横断歩道で
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横断歩道を渡りきると前方の建物の隙間から私たちが向かっているであろうデパートが見えた。

この先の横断歩道を再度渡り、左に曲がって直進すると着くらしい。


「なんかRPGに出てきそうだよね〜、あのデパート」

横断歩道の前で信号を待っていると、カノがいきなりキサラギに話しかけた。

「え!?えぇ!?なんでですか!?」

「え……なんでそんな驚くの?僕そんなに変なこと言った……?」

『キサラギ、お前結構挙動不振だぞ。カノがかなり引いてる』

「そ、そのようですね……」

キサラギのカノを見る目に恐怖が浮かんでいる

どうしたんだろう?

「い、いやぁ、あはは……なんでもないです」

『いやいや、なんかあったろ』

何もないのに挙動不審になるのはおかしいって。

「ん〜?なんか変な態度だね。あ、同じこと考えてたとか?」

「うわ!な、なんでわかったんですか……?」

カノはよく人のこと見てるから、じゃないだろうか。

こいつ何気鋭いし。


「あ、やっぱり?なんとなくだったんだけど、いやぁキサラギちゃん気が合うねぇ!」

「や、やめてくださいキモチワルイです」

カノ、ドンマイ!

心の中でカノに向けて親指を立てる。

「キド〜、クオ〜……やっぱりわかってくれるのはキドとクオだけだよ〜」

「『寄るな。殺すぞ』」

「は〜い……」

キドは顔をしかめながら、私は顔をにこやかにしながら、殺気を放って言葉を発した。

カノはそれらに負けて離れた。

私ら案外最強?

まさかね、そんな最強とかあるわけないわな。

『なーんてな。別にいいぞー』

「クオ……!」

カノの声が落胆から歓喜に変わる。

『憂さ晴らしに殴らせてくれんなら』

憂さがまずないからなぐるもなにもないけども。

ニコニコした顔をカノに向けると歓喜からまた落胆の声になった。

「……やっぱいいや」

『ハッ、チキンだなおい』

鼻で笑ってやった。

ふと前を見ると、

『あ、信号青になった』

「じゃ、行くか。カノ早くついてこい」

「はいはーい!」

『お前復活早っ!!』

びっくりもんだよ!






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