目を剥いて掛けた話
□第11話 石と素性
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「えっと……マ、マリーちゃんって……一体?」
「俺たちもよくわかってないんだけどな……あいつメデューサの末裔らしいんだ」
「メ、メデューサ!?って……人のこと石に変えちゃう……あの!?」
「あぁ。最初は俺も半信半疑だったが、人間じゃないことは確かだろうな」
『髪の毛動くし!』
そう、ある一定の時に限ってマリーの髪の毛は動く。
髪が動くということはやはり人間じゃない。
人間なら髪は動かないのだから。
『それに生まれた時から親に「自分たちはメデューサだ」と言われて育ったらしいね』
「母親は本当に人間を石に変えることができたらしいが、マリーは動きを止めるのが限界みたいだな」
「で、でも……そんな非現実的な」
『確かに非現実的だな』
思わず苦笑。
「まぁ、気持ちはわかるが、実際にマリーは存在しているわけだしな。言ってみれば俺もお前も、あいつと似たようなもんだ。科学がどうのこうのじゃないところで、確かに変な能力があるってことは、お前もよく知ってるだろ?」
「た、確かにそうですけど……」
昔、国語のテストで読んだ文に人間は新しいものを異常なまでに拒むと書いてあった気がする
その文に書いてあった内容とは少々ワケが違うからこの場合はアレか?
自分の頭の理解を越えている的な何かか?
でもどちらにしようが、今のキサラギの反応はそれにあてはまる。
この後が大事。
「――嫌いになるか?」
「……え?」
『マリーがもし人間じゃないと知って、それでお前は、マリーのことを嫌いになるか?ってことだよ』
今までの価値観?を覆すようなことが起こったとき、その後それをどう捉えるかによって生き方ががらりと変わる。
と私は思っている。
キサラギはどう捉えて行動するのだろうか。
「……ならないです。友達になれたらって思ってます……!」
『そりゃ、良かった』
私もキドも安堵の溜息をつく。
「……なら、今はそれでよしとしてやってくれ。いつか俺たちのこともじっくり話すよ。気が乗ったら、お前の話も聞かせてくれ」
「は、はい……!」
いやはや本当に良かったよ。
キサラギがいいヤツで本当に良かった。
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