目を剥いて掛けた話

□第11話 石と素性
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「それってどういう……っていうかこれカノさん大丈夫なんですか!?」

「いや、もうこうなってしまったら手遅れだ……一生このまま戻らない」

『短い一生だったなぁ、カノ』

肩をポンポンと叩く。

当たり前だが返事は返ってこない。

「……え?」

「残念だがな……。よし!このまま部屋に飾って洋服掛けにでもするか!」

え、こんな変な顔したのを!?

「でも正直いらないな……」

だよなぁ。

あ〜ビックリした……

「クオ、これいr」

『絶対にいらない』

即答だぜ!!

『引き取り手はいないだろうから、さっき話したけど粗大ゴミに出してしまおう』

さっきってのは大体第5話あたりのことだよ。

キドは一応賛成してたから大丈夫だと思うんだが……

「そうだな。よっと……クオ、マリーそっち持ってくれ」

うん、大賛成だったんだね!

「うん……こんなの早く棄てよう……」

マリーも同意してるとは……!

やっぱり普段の人と接するときの態度は大切だね!

『……そろそろかな』

そろそろカノが動く。

「ーーうわぁ!?なにやってんのキドいきなり後ろから抱きつくなんてっておぅふ!!」

キドはカノの右脇腹に、私は左脇腹にひざ蹴りを入れる。

私らの攻撃を受けた当の本人は床に崩れ落ちて唸っているところだ。


「アホかおまえは!?出かけるっつってんのに余計なことすんな!」

「団長すみませ〜ん……」

なんでまだ笑顔なんだろう……

痛がるのを期待していたのに……

つまんないことするよなぁ、カノは。

二重の意味で。


カノが動き出してから、あともう少しだったのに……みたいな顔をしているマリーに声をかける。

『ほら、マリーもとっとと準備して来い。早くしないと店が閉まるぞ』

「え!?うわ……急いで準備してくるね……!」

マリーはドタドタと部屋に入っていった。

キドはやれやれと肩を落とす。

まぁ疲れるよねぇ、こんなんじゃ。

やっぱり私も何か手伝ったりしたほうがいいかな……

可愛い妹のためだ。

考えておこう←




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