目を剥いて掛けた話
□第8話 弁償するには
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「もう!かわいそうですこんなの!マリーちゃん困ってるじゃないですか!」
キサラギは机に乗った求人情報誌を取り上げる。
マリーはそのキサラギを女神でも見るかのような目で見つめる。
私はいつも助けないから嬉しいんだろう。
「いやぁ、そうは言ってもそろそろマリーに社会の厳しさを教えないとと思ってさ。このままニートはちょっとね」
『それには同感かな』
キドも「うんうん」と頷く。
『マリー、皆マリーを心配してるんだよ』
「わ、私だってちゃんと働いてるもん……!」
あ、珍しく言い返した。
「「え?あの造花作りの内職?あれ月500円くらいでしよ?収入」」
わお。
珍しくキドとカノがハモった。
「ごっ、500円!?」
キサラギ、そう驚いてやるな。
追い打ちはかけるけど。
『確か先月は535円……だったかな』
「え!?」
『ほら言ったじゃん?マリーに支払い能力はないよって』
っとマリー顔赤っ!
「そうだけど……で、でもちゃんと一個一個丁寧に作ってるし……」
丁寧に作っているのは良いことだと思うよ?
でもさぁ、
「お前さぁ……あれ一本作って5円だろ?一日三、四本ってお前……」
キドがため息をつきつつ言った。
丁寧に作っても一本5円。
ギリギリ売ることが出来るくらいのクオリティで作っても一本5円。
要は儲けたいなら巧遅拙速だ。
適当に且つ短時間で多くの造花を作った方が儲けられる。
……ということなのだと思う。
「普通の人なら多分マリーの100倍は稼ぐんじゃない?ね?キサラギちゃん?」
「えぇ!?私!?」
月収500円のフォローは大変そうだ。
「えぇ〜っと……いや!こ、こういうのは人それぞれのペースがあるんです、きっと!だからマリーちゃんのも立派なお仕事、です、……よ!」
お、よく頑張った!
「……月収ワンコインでもか?」
痛いトコ突いたね、キド。
「ワ、ワンコインでもです……!」
キサラギすげぇ……!
屈しなかったよ。
尊敬するわー。
いや服のセンスは尊敬しないけど。
end