目を剥いて掛けた話
□第7話 ドジから不運
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「ちょ!いやいやいや!何言ってるのさ!」
お前のさっきの発言のほうが何言ってるのさ、だよ。
「キドだってこっそりリンスを変えたり、実はフリルのスカートを持ってて鏡に痛い痛い痛い!!」
キドはカノが喋り終わらないうちに腕を締め上げた。
カノを殴ろうかと思ったけどキドが今やっているし、別にいいか。
っていうか、なんだ。
スカート持ってんの知ってたのかよ。
つまらん。
と思っていたらキサラギが心配そうに聞いてきた。
「あの……クオさんはいいんですか?」
え?何が?と思ったが女の子じゃないみたいな言い方をされた件についてだ、と思い当たった。
『いいんじゃない?キドが女の子だって肯定するくらいで私は満足だよ。ってか今更私が女子っぽくないって言われてもなぁ……ってのが私の心情』
「そういうの気にしないんですか?」
『まったく』
別に今更どう言われたってこうなったんだからほっとけ、っていうのが私の考えだ。
気にしたって仕方ないことだろう?
だから気にしない。
「ところでキサラギ、事務所か親御さんには連絡しておいたほうがいいんじゃないか?あまり大ごとにならないほうがいいだろうしな」
「あぁ!!そうだった!完全に忘れてました!」
「その前にキド、ちょっとこれ止めて……!ギブギブ!」
キドはまだカノの腕を締め上げていた。
『ざまぁ』
私は嬉々とした表情で言った。
隣ではキサラギがメールを打っていた。
なんだか気になったのでちょっと覗かせてもらった。
プライバシーの侵害?
違いますよ。
添削するだけです←
件名:アイドルを辞めます。
本文:今メカメカ団という人たちのアジトにいます。私の体質を治してもらおうと思います。心配しないでください。家族にも心配しないでとお伝えください。本当にごめーー
なんかキサラギがここまで打ったらため息をついた。
「これ……なんて伝えたらいいんですか?この状況……?」
キサラギはキドに助けを求める。
「……いや……なんというかホントにすまん……」
あえなく撃沈。
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