目を剥いて掛けた話
□第6話 引っ込み思案登場
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まぁそんなこんなで喋っている内にマリーはキドとカノの間に座っていた。
私も元の場所に座ることにした。
「待たせてすまなかったな、こいつがマリーだ」
マリー、大丈夫って何度呟いても大丈夫じゃないものは絶対に大丈夫なるわけないからな。
と思ったのもマリーが名前呼ばれただけでビクッとしていたからである。
「は、初めましてマリーさん!え、えっとキサラギです!今日からしばらくこちらにお世話になることになりまして!あ、あの、頑張るのでよろしくお願いします!」
キサラギが話し始めたとき、マリーはまたビクッとしていたが、今は少々顔が緩んでいる。
しかし黙っている。
「…………」
「えぇと……あはは……そ、そんな感じで……」
まぁ、沈黙って怖いよね……
「わ、私……マリーです……は、はじめまして……」
マリーが途切れ途切れだが自己紹介をした。
……ってかよく喋ったな。
これは快挙じゃないだろうか。
あとで好きなお菓子買ってやろう!
恥ずかしかったのかマリーは目をグルグルまわし耳まで赤くしている。
「お茶を入れてきますっ!」
我慢出来なくなったのか、マリーは台所に向かった。
「あぁ!お、お構いなく!」
「いやぁ……マリー頑張ったね」
「驚いた、あいつが初対面のやつにあんなに喋るのは初めてじゃないか?」
『これを成長したって言うんだろうかね』
三人でマリーを称賛する。
「ええ!?そうなんですか!?」
「まあとは言っても、マリーが人と面と向かって喋るのって五人目くらいだし、あんまり参考にはならないかもだけどね」
「五人目!?マ、マリーさんって普段何されて……?」
「何って……う〜ん……現代風に言うとニートかな?」
現代風に言わなかったら何て表されるんだろう?
カノはキドの方を向く。
「だな。まぁほとんど部屋から出てこないから、引き籠りとも言えるかもしれんが……」
と言いながら私の方を向く。
何コレ。
三段論法的な何か?
『とりあえず、ヒキニートが結論かな』
「あ……そうなんですね……へ、へぇ〜……」
キサラギが何だか申し訳ないという感じのオーラを出している。
「でもそろそろマリーも何とかしないとまずいとは思うけど?流石にヒキニート二年目はちょっとさぁ」
「それも何度目かの話だがな。毎度毎度この話をすると、あいつしばらく口もきかなくなるだろ」
『何だか進路選択を迫られている学生みたいだな』
「そうだねぇ……ん?どうかした?キサラギちゃん」
「あ!い、いえ!なん……でもないです……」
返答に詰まっているキサラギを見ていたら何故か昔、というより数年前のこと思い出した。
そういえばまだ私が真面目に学校に通ってたとき引き籠った奴いたっけな。
結局退学したんだったかな?
というか何で今こんなこと思い出したんだろうか……
まぁいいか、別に。
end