目を剥いて掛けた話
□第5話 まぁそんな感じ
3ページ/3ページ
『キサラギ、大丈夫か?』
いまだに抱きつかれたままだ。
「あ!……なんかスミマセン……」
キサラギはパッと離れ私に謝る。
『いや、大丈夫だ』
少し苦笑する。
キサラギはソファーに座り直しカノたちの方を向く。
「あの……何なんだったんですか今のは?」
先程のが怖かったのか、キドのほうを見ようとしない。
「キドも君と同じでさ。まぁ同じというか真逆というかなんだけど、小さい頃から人に【見てもらえない】体質だったんだよね」
『その【見てもらえない】ってのがだな、今の見て理解したと思うんだが、ホントに気づかなかったろ?これがずっと続いている状態って感じだ』
「でもある時期から何とかコントロールできるように練習を始めて、今に至るって感じ。これが君の体質を抑えられるかもって言った証拠なんだけどーー」
というところでキサラギがテーブルを叩きつけるようにして身を乗り出す。
「私ここに残ります!!か、家事とかできることなんでもやります!!作戦でしたっけ?それもがんばります!!入れてください……メカメカ団!」
その言葉を聞いたとたんに思った。
仲間が増えるんだ、って。
目の能力がコンプレックスだった私達。
仲間がいなくて、それでもいる奴らだけで頑張ってきた。
仲間が増えるのがとても嬉しいよ。
……なんて口に出さないし顔にも出さないけどね。
でもやっぱり嬉しいもんは嬉しいね。
「そ、そっか……それはありがたい!うんそれとメカクシ団ね、ここが重要だから」
「メカクシ団!!がんばります!」
『お前ら張り切ってんなぁ』
「いや、というかその変な名前いい加減やめないか?名乗る機会なんてまずないだろ」
キドがボソッと呟く。
『あるかもしれないじゃないか。先のことはわかんないぞ』
「そうですよ!メカクシ団かっこいいですよ!よろしくお願いします団長さん!」
「な、なんだいきなり……ま、まぁ、とりあえず今日からよろしく頼むよ【キサラギ】」
「は……はい!!」
「あれでしょ?なんだかんだ言って団長って呼ぶ人がいなかったから今嬉しいんでーー痛い!痛い!」
『うん。カノくんはホントウザイくらいの笑顔だな!言っておくが褒めてるぞー』
「いやいや、貶してるの間違いでしょ!?」
いやはや、楽しいなぁ。
end