目を剥いて掛けた話

□第3話 発端は昨日
4ページ/4ページ


「いや、ちゃんと嘘って言ったって、なんかキドずっと音楽聴いてて返事してなかったけど。しかも勝手に行って連れて来たのは自分でしょ?自業自得じゃん」

勘違いしちゃって焦るキドも可愛いなぁ。

「お前が起こしても起きないから先に行ったんだ!!というか起きたんだったらなぜ電話しない!?」

「だってキドの携帯にかけてもいつも音楽聴いてて出ないじゃん。あれなんか切ないし、めんどくさいし、それにちょうどクオが帰ってきたから」

『ぜってーお前の気分だろ』

私が帰ってきたせいみたいな言い方するな。

っていうかカノって携帯出てもらってないんだ……

なんか可哀想だね!

「だからってお前……」

「ーーあ、あの!!」

『何?』


カノは笑顔。

キドは厳しい表情。

私は特にすることもなかったので声を出した。

「あ……あの、結局私は勘違いをされたということでいいんですか……?」

いかにも恐る恐るという感じで聞かれた。


キドはフード越しに頭をガシガシし、ため息をついて言った。


「あ〜……そうだったみたいだ。すまん、こっちの手違いだ。だからもう帰っ……」


キドの顔がまた青ざめていく。

どうやらやっと気付いたらしい。

カノはソファーに座り直しクスクスと笑い出した。

私はというと笑いを堪えるために悶絶していた。


だって今笑ったら絶対キドに何か言われる。






end
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ