目を剥いて掛けた話
□第3話 発端は昨日
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「いや、ちゃんと嘘って言ったって、なんかキドずっと音楽聴いてて返事してなかったけど。しかも勝手に行って連れて来たのは自分でしょ?自業自得じゃん」
勘違いしちゃって焦るキドも可愛いなぁ。
「お前が起こしても起きないから先に行ったんだ!!というか起きたんだったらなぜ電話しない!?」
「だってキドの携帯にかけてもいつも音楽聴いてて出ないじゃん。あれなんか切ないし、めんどくさいし、それにちょうどクオが帰ってきたから」
『ぜってーお前の気分だろ』
私が帰ってきたせいみたいな言い方するな。
っていうかカノって携帯出てもらってないんだ……
なんか可哀想だね!
「だからってお前……」
「ーーあ、あの!!」
『何?』
カノは笑顔。
キドは厳しい表情。
私は特にすることもなかったので声を出した。
「あ……あの、結局私は勘違いをされたということでいいんですか……?」
いかにも恐る恐るという感じで聞かれた。
キドはフード越しに頭をガシガシし、ため息をついて言った。
「あ〜……そうだったみたいだ。すまん、こっちの手違いだ。だからもう帰っ……」
キドの顔がまた青ざめていく。
どうやらやっと気付いたらしい。
カノはソファーに座り直しクスクスと笑い出した。
私はというと笑いを堪えるために悶絶していた。
だって今笑ったら絶対キドに何か言われる。
end