目を剥いて掛けた話
□第3話 発端は昨日
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バタン
『……ん?』
音がした方を向くとドアの前にキドがいた。
寝たせいか動くのが面倒臭く感じる。
『おかえり、キド』
トテトテとキドのところまで腕を借りてなんとか立った姿勢を保つ。
「ただいま、今まで寝てたのか?」
『うん』
声をだすのも億劫になってきた。
これは重症かもしれない。
「髪ボサボサだから少し直してこい」
わかったと言おうとしたら知らない女の子がここに入ってきた。
『…その子誰?』
キドに聞くと
「新入りだ」
簡潔な答えが返ってきた。
客がいるとは知らずに寝起きの姿をさらしてしまった。
これは大失態。恥ずかしや。
『へぇ、とりまハイスピードで髪直してくる』
「いや、別にゆっくりでもいいぞ」
言葉を交わして洗面所へと向かう。
ていうかちょっと待って。
そんなちょっと昼寝しただけでぼさぼさになる私の髪の毛is何?
恥は怒りへと変換されたがまあちっぽけなものなので髪を直しながら客人の姿を思い出す。
新入りかぁー……
仲良くできるといいんだけど……
髪を直して戻るとカノが新入りさんに私達の活動を話してるところだった。
カノ、お前いつ起きたんだ…
「とりあえず今のところの活動は警察の【目】を盗んでヤバイ施設に入ったり、そこからいろいろ拝借したりしてますね。詳細は後で詳しく、まぁ教えないこともあるかと思いますがそこはご容赦いただくとして、ある程度お話ししようかと思います。」
ここまで言葉がスラスラと出ているとすがすがしい。
立て板に水ってこういう奴のためにあるんだろうなぁ。
カノの話を横目にお茶の準備をと台所へ向かう。
マリーがすでに準備を始めていたのでその手伝いをする。
「で、ここが僕らのアジト。まあ察しているかもですが、あからさまにアジトっぽくしてるのはそこに座っている目つきの悪い……」
『おっと目つき悪いのがキドのことならちょっと考えがあるぞ?』
私がその場にいないからって何でも言っていいわけじゃないんだよ?
妹になんてこと言うんだ、切れ長のクールビューティな目といいたまえ。
そんなことを考えていると知ってか知らずかカノは飄々とかわし話を続ける。
「おぉっと怖い怖い、いや団長のキドの趣味なんですよ。なのであんま気張らずに適当にくつろいじゃってくださいね。それでさっき何か言ってた人がクオです」
『台所から失礼。よろしく』
「メンバーとしてはその団長とクオと僕……あ、カノっていいます、とあと二人ほど……。まぁもしかしたら三人になるかもしれませんがそれくらいでやってます。普段は表立って何かということはしてないですけど、なんかそんな感じで緩くやってます。」
確かに私達は緩い気がする。
しかし、それが良いところだと思う。
上手く組織運営する秘訣みたいなものだろう。
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