目を剥いて掛けた話

□第2話 外で買い物
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再び出た外はやはり暑い。

朝に出た時より時間が経っているせいでより暑い。


今回の外出は夕飯の材料を買いに来たわけだが、ついでに本も買うと言ったので先程とは別の道を通ることにした。

しかし、早く暑さから逃れられるように足早に目的地へ向かった。


先に本屋で目当ての本を3冊買い、本屋の近くにあった小さなスーパーで夕飯の材料を買った。

結局昼が麺類だから夜はご飯にしよう、暑くてダルいし軽めの和食にしようと味噌汁の油揚げと肉豆腐の材料、副菜のためのほうれん草を買った。
あとは冷蔵庫の残りでキドが上手いこと作ってくれるだろう。

素朴過ぎとカノに笑われそうだが、食べたいのがこれだから仕方ない。

会計を済ませると買い物袋に手際良く購入した品を詰めスーパーの冷房を惜しみながら外に出た。

その矢先、数十人の視線が一ヶ所に集まっているのが目に入った。

それらの視線の先には、一人の少女がいた。


ちょっと目を【掛け】させてもらおう

唇が自然と弧を描く。
おもしろいことが起きるぞと直感が囁く。

おそらく今のクオの目は赤く光っている。

同様に視線を集めている少女も目を赤くさせている。

充血とは違うその目は何かを持っているということであるとクオは知っている。

彼女の能力を見てみたくなったクオは自分の能力を使って見てみようとした。


クオの能力によって更に少女に視線が集まった。

「キドと真逆、だな」

思わず声が出ていた。

見てもらえないキドも大変だったようだが、あの子はあの子で大変なんだろう。


考えている内にとても大きな人だかりになっていたので急いで能力を解き、心の中で謝罪をし、ダッシュでアジトに帰った。

この大きな人だかりのせいなのか聞こえるパトカーの音にちょっと反省せねばならないと思った。

自身の好奇心を満たすために他人に迷惑をかけるのは良くない。あまり。

いつか機会があればちゃんと謝ろう。
ちゃんと能力のこと理解してもらえるかわからないが。



この時、なぜだかもう会わないかもかもしれないなんて考えは浮かばなかった。

もう会わない確率のほうが高いというのに。

この後確率の低いほうに物事は進んだので、差支えはないのである。









end
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