目を剥いて掛けた話

□第1話 少し違った朝
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8月14日
AM05:00


ヴヴッ ヴヴッ

「……ん」

携帯のアラームが鳴っている。

地味にうるさい……

手探りでスマホを探し出しアラームを止める。

時刻の確認のためにスマホの画面を見て目が覚めてしまった。

「もう少し寝たかった……」

何でアラーム鳴ったんだ……なんて思ったが昨日アラーム解除するのを忘れていたという結論に至った。



自分の失態に溜息をつきながら起きたこの少女の名は九尾結羅だ。

他の人からはクオと呼ばれている。


クオはお腹が空いてると気づき、飯を漁りに台所へ向かうことにした。

朝起きたら大概腹が減ってるのでまず台所に行くのが習慣になっているようだ。

少々身なりを整えてから部屋を出る。


アラーム解除しなかったのは痛かったと未だ後悔を続ける。

もう少し睡眠を確保したかったのだ。

二度寝をすればよい話なのだが、クオは二度寝ができないらしい。

憧れてはいるのだが、体質なのかと諦め気味である。

腹違いの姉妹であるキドはできるのだが、キドが二度寝するなんてあまりない。

台所を覗くとトントンと野菜を切る音とジューッと何かが焼ける音、あわせて香ばしいにおいも漂ってくる。

キドが二度寝をしない理由は、クオ達の朝食を作るために早起きしてくれるからである。

「キド」

「ん?ああクオか。おはよう」

キドは一瞬こちらに目を向け、クオだと判断すると作業に戻りながら挨拶をした。

「はよー」

ところでクオ達という表現をしたのはクオとキド以外にも人がいることを指したわけだが、家族ではない。

近いものではあるのだが。

その家族に近い集合をメカクシ団と呼称している。

メンバーはそのうち起きてくるだろうということで今は割愛する。


それにしても、とクオは考える。

ああもうほんとにキドは可愛いなぁ……!

やることなすこと可愛すぎてつい過保護になってしまう。

今のご飯作ってる姿もかっこいいしかわいいよ!

さすがわが妹!


クオはいわゆるシスコンなる属性を持つ。

はたから見れば変人に見えることも承知済みなので恥はない。

というより以下のように言っている。

でも自分で自分を変だって言う人は変じゃないとも言うよね。

つまり自分は変人に見える普通の人だと。

重症である。

「そんな笑顔でどうしたんだ?」

作業を一旦中止したキドが心配そうな顔でクオに問う。

正しくは笑顔ではなく、にやけた顔なのだが。

頭のほうを心配されている質問だったのだが、クオには自分を心配してくれるかわいい妹と変換されたようで、にやけた笑みがさらにだらしなくなる。

「キドが可愛い件について脳内会議してた」

だらしのない顔からキリリと真顔になって報告した。

「なっ俺が可愛いわけないだろ!」

キドは頬を赤くし、一度中断していた作業へ戻ろうと顔をそむける。

つまりは照れている。

「顔赤くない?キドったら照れ屋さんだなぁ……!」

「赤くなってない!!」

その言葉を皮切りに【隠れ】られてしまった。




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