短編

□勉強会前
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シンタローside

高校生活に慣れてきた頃。

中間テストが近くなってきた頃。

中学からの付き合いであるアヤノとはまあそれなりに。

高校に入ってから何の因果か九尾というやつがよく絡んでくるようになった。

ということで俺たち三人のある日の話。


放課後。

ほとんどの生徒は教室から出て静かになってきた。

そろそろ帰ろうと自分の席を立ち鞄を持つ。

『者ども勉強会じゃー!』

帰ろうとした俺の前に立ちふさがったクオはそう言った。

右の拳を上に上げ左の拳は腰に当てている。

「いきなりなんだよ!?」

「なんか中間テストに向けて勉強会しようってクーちゃんが」

アヤノが原因を説明する。

「は?たかが中間テストじゃねぇか。勉強とかしなくてもいいだろ」

声に出す。

ちなみに羨望なんかはない。

『点は取れるだけ取っといたほうが後々の信用への補強につながるからね!初っ端から外せないのさ!』

自慢げに話しているがなんかうざい。

「めんどくせぇ」

その理由も勉強会とやらもめんどくせぇ。

「私も少しは点数アップさせたいな」  

アヤノが苦笑いしながら言った。

アヤノがこうくると断りづらい……

『ここで学年トップの如月を使わないわけにはいかんだろう?』

どこでそんな情報仕入れてきやがった、コイツ。

でもまぁ、そんなことはどうでもいい。

「俺パース」

ひらひらと手を振り九尾を避けて教室のドアへと向かう。

『使わんわけにはいかんだろうて』

「うわぁ!!」

ドテッ

「……っ〜!」

どうやら九尾は片足を俺の進行方向に出していたらしく、俺は無様にもそれにひっかかってしまった。

痛みにより教室の床にうずくまる。

「クーちゃん……それは痛いよ」

『そだね。ヤリスギタカモシレナイワ、ゴメンナサイネ如月君』

俺の痛みを察してくれたのであろうアヤノの言葉のおかげで九尾から謝罪の言葉が聞けると思ったら、何ともヒドイ片言。

「片言ってお前反省してねーだろっ!!」

『怒鳴るほどの元気があるなら問題ないね。いざ自習室!』

九尾はそう言って再びバッと拳を上に上げた。

なんだこの解釈は。

都合よすぎだろ!

「おー!」

アヤノも賛成のようで拳を上に上げている。

「俺の話を聞けよ!」

話と言っても何もないから誤った発言ではあるが、言い直せるならこう言いたい。

俺に拒否権は無しか!?



無いだろうからもういいや。







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