短編

□クリスマース!!
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クオside

マリーはキドの言葉を聞いて固まってしまった。

まぁ、ビックリもんだよね。

今から出かける、しかも泊りに行くんだから。

「え……と、なんで?」

ようやく絞り出した言葉がこれなのだから相当驚いたのだろう。

「俺も昨日クオに聞いたばっかりなんだ。質問ならクオにしろ」

キドがそう言った途端に私のほうに顔を向けた。

「クオ!なんで今から泊りに行くの!?」

うわぁ、なんかマリー泣きそう。

目が潤んでるよ。

人に会いたくないからか?

『ほら、マリー言ってたじゃん。今年はホワイトクリスマスがいいって』

「言ったけど……それがなんで泊りに行くことになるの?」

『ふっふっふ。今からホワイトクリスマス確定の場所に行くからなのだよ!』

あ、ヤバい。

楽しみすぎてテンションおかしい。

「え!それじゃ、今年こそは……」

『そゆこと〜。だから急いで準備しな』

「うん、わかった!」

先ほどの態度とは打って変わって楽しみで仕方ないようだった。




全員の準備が終わり、近くの公園で約束の時刻になるのを待っていた。

みんなにとっては初対面の人と会うことになる。

マリーについてはアイツに話しかけられた際の対応がとても心配なのでキドに【隠し】てもらっていた。

さて、本題。

はたして何の約束か。


「やっほー。迎えに来たよん」

公園の入り口近くに停められた車の中からテンション高めな女子が現れた。

『はいはい。テンションの高いお迎えありがとう』

「冷たい奴め!」

軽くあしらい皆に紹介する。

『はい、みんなちゅーもーく。コイツが昨日話した佐野菊佳だ。ほれ、自己紹介』

菊佳は私が言うなりバッと挙手して自己紹介をし始めた。

「はいはーい!クオの心の友の菊佳でーす!よろしく!」

『え、何?お前って私の心の友だったの?』

「え、違うの!?」

菊佳は心の底からそうだと思っていたようだ。

私は初耳だ。


此方も簡潔な自己紹介(マリーを除く)をし、今回の決定事項の確認へと移った。

「じゃ、みんなよろしくね!っと、そんなわけで今回は私の実家に泊まるってことでいいんだよね?」

『ま、そうだね。』


今回こんなことになっているが、状況が飲み込めていない方が大半だと思うので補足。


実家に帰るタイミングがわからなくなっていたらしい菊佳に便乗して、いざホワイトクリスマス!な私たちを実家に招待する名目で、実家に帰ろう大作戦。


……これを補足と思ってくれい。


……何でだろうね?

先程からキドたちは妙に静かだ。

『……ってちょ……何か喋ろうよ。何か私と菊佳だけしゃべってんじゃん。悲しいから誰かしゃべって!!』

さっきから私らしか喋ってないよ!!




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