目を剥いて掛けた話

□第23話
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「さて、とりあえずどうするか……」

「僕はご飯食べるよ?」

キドが呟くとカノがどうでもいいことを言い出したので釘を刺しくておく。

『うん。流れからわかってるから黙ってな』

沈黙。


キドが話を切り出した。

「まずキサラギの兄貴さんなんだが……」

ちらりとマリーの部屋を見た。

マリーの部屋ではキサラギの兄貴さんが寝ている。

「あー……お兄ちゃんはたぶん朝まで起きないんじゃないかなー、と」

すみません、と苦笑いをしながらキサラギは答えた。

「じゃあなんやかんや動くのは明日からだねー」

もぐもぐと口を動かしながらカノが言った。

『話に参加すんのは食べ終わってからだ阿呆』

そして再び戒める。


『キサラギの兄貴さん、ここに連れてきちゃったけどどう説明すんの?私らのこと話すの?』

成り行きで連れてきたもののこの後のことをどうするかはやはり考えていなかったので尋ねる。

「そうだな……そのことはキサラギの兄k……」

そこでキドの言葉は遮られた。

「あーもう!キサラギの兄貴さんって言いづらくはないんですか!?貴方方!!」

皆が声の主を探す。

察したのか、彼女は声を上げる。

「ここですここ!妹さんのパーカーのポケットの中です!」

「はっ!エネちゃんのこと忘れてた!!」

ゴソゴソとパーカーのポケットを探り、スマホを取り出すと全体的に青い少女が画面に映っていた。

「もう!忘れないでくださいよ!」

【エネちゃん】と呼ばれたその少女は膨れ面である。

「ご、ごめんごめん……」

あはは、とやはり苦笑いしながら謝った。


「ところで、目がどうこうとかいう話を聞かせてもらったのですがもう少し詳しくお聞かせ願いますかね?」

【エネちゃん】はニッコリと笑いながら私たちに尋ねた。

それはメカクシ団のことに関わるのでキドの判断によると思い、キドが口を開くのを待とうとしたのだが、そこで思わぬことが。

「あのね、エネちゃん。この人達はメカメカ団っていう組織の人達でちょっとヤバイこともしてるらしいんだけど、私の異常を治してくれるんだって!」

「ほほー、そーなんですかー」

キサラギが喜々として語り、彼女は相槌を打ちながら聞いていた。

メカメカ団……まあここはもう突っ込まないよ。私は。

キサラギ……先にバラされても困るんだよ……

「モモ、メカメカ団じゃないよ、メカクシ団だよ!」

マリー、訂正ありがとうと言いたいところだが今は言っちゃいけなかったんだ。

「ん〜これは団員として迎えるしかないんじゃないかなー?」

『だから食い終わって……るだと……!?』

食い終わってから参加しろと言おうとするとすでにカノは食べ終わっていた。

「致し方ない……か」

キドはため息と共にそう吐き出した。


「おい、エネ……といったか」

「はい、なんでしょう?」

いかにも待ってましたみたいな顔をされているのだが……

なんか乗せられたみたいで悔しいな……

「キサラギがお前に俺たちの活動内容等々喋ってしまったからな、強制ではあるがお前も俺たちの組織、メカクシ団に入ってもらう」

「退屈しなさそうなので喜んで、と言いたいところなんですが、ご主人も一緒にお願いしたいですね」

「ふむ……まぁ、いいだろう」

少し考え込み、OKを出すとキサラギが不満そうに顔を歪めた。

「えー!!お兄ちゃんもですか?」

「ああ。そうだ」

『まあまあ、そんな嫌そうな顔しないで。キサラギが何かの組織に入ったみたいだけどその組織がめちゃくちゃ怪しいって探られるより団員にしてしまった方がこっちとしては楽なんさ』

「むー……わかりました」

諦めたようで納得してくれた。

「ん、物分かりいい子は好きだよ」

頭を撫でると後ろから何か視線を感じた。

前にも同じようなことがあった気が……デジャヴ!?

あ、気の所為?

「とりあえず、活動内容を正しく話すとだな……」

キドが説明を始めるのを見てふと別のことを考え出した。

カノが嫌そうな顔してる……?

いや、違うかな?

カノが若干能力を使ってそうな感じだったのだが、まあ深入りするのは宜しくないだろうと推測に留めてはおくが、どうしたのだろうか……?

いや、そんなことよりこれからどうするか、だな。

一応キサラギの服は私の…いや、キドでもいけるか、とりあえずお下がりでも引っ張り出せばなんとかなるな。

キサラギ兄もセトあたりで足りるかな。

食材はあるから大丈夫。

じゃあ大丈夫かなー


「……という感じだ。何か質問は?」

「んー……後日で!」

「わ、わかった」

にこやかに後日でとか言われてもね、戸惑うよね。

まあ話は終わったようだった。





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