目を剥いて掛けた話

□第22話 世話と世話
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『あっつ……』

ガチャリとドアノブを回し、

『かったわボケぃ!』

私はアジトに帰還した。


もうすでに私以外の人たちは中に入っていたので目の前にはソファーにおとなしく座ってる姿に見えるよう欺いているカノやキサラギ兄の看病の準備を始めているキドとモモ、その手伝いをしているマリーがいた。

カノの実際の姿は……ソファーにうつぶせになってぐったりしているようだ。

おおふ……

どうしよう、さっきのKYな台詞。

まあ、気にしない方向で←


『何か手伝うことある?』

「いや、特には……強いて言うならカノをどけてくれ」

手伝おうとしたがもうすることも無い様で、キドにも見えているのだろう。

カノをどけるという任務をいただいた。

『りょーかーい。あ、キド、あのさ』

任務を受けるにあたってキドに一つ頼み事を聞いてもらった。


カノに近づき声をかける。

『カノ―、起きてるかー?』

「何?っていうか欺かれてないの?」

『だって今能力使って弱くしてるからさ』

ゆするとうつぶせのまま返事が返ってきた。

普通に見ても欺いてない状態で私の目に映ってるよ、というとクオの能力にはかなわないなぁと言われた。

そんなカノの台詞をスルーして、考えた。

普通にどけるのはつまらないなー、ということで、だ。

『自力でここから退くのがめんどくさそうなカノに優しいクオからのスペシャルサービスです!』

「ああそれは嬉しいねえ」

どこぞのばあ様みたいな台詞だななんて思いつつ続ける。

『おんぶしてもらうのとお姫様抱っこしてもらうのどっちがいい?』

「そうだなぁ……って、は?え?」

『ん?行先ならカノの自室だが?』

「いや行先は別にいいんだけど、連れて行くときの手段がおかしくない!?」

『連れてってもらうのに贅沢言うなよな』

キサラギ兄の看病の準備が完全に終わったらしいキドを呼ぶ。

「呼んだか?」

『うん。呼んだ呼んだ。今からカノを自室に連れて行くからちょっと撮ってて』

私の携帯をキドに手渡す。

「撮る必要あるのか?」

『からかう材料は多い方が楽しいからね。それにカノから恥ずかしい思いをさせられたとしてもこういうので相殺できるよ!』

「なるほど」

「いやキド、そこ納得するところじゃないよ!!」

納得したキドにカノがすかさずツッコむ。

『で、カノ自分で決めらんないなら私決めちゃうけど?』

「いや、自分で歩くんで、結構です」

敬語で拒否された。

まあでも、

『残念。君に拒否権はないよ。』

キドにカノおんぶするから手伝って、と言うと快く引き受けてくれた。


最初、カノは抵抗していたが、よほど疲れていたのだろう。

最終的にはもうされるがままだった。

ということで何の問題なくおんぶでき、カノの自室へ移動することができた。






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