目を剥いて掛けた話

□第18話 無精髭君
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キドたちと別れた私はフードを深く被り、さっそく能力を使って自分の存在感を薄くする。

人質の人たちの間を触れないように通り抜けてカノたちのところへ辿り着いた。

なんとかしゃがめるスペースがあったのでしゃがみ、カノの服の裾をつかんでカノに小声で声をかける。

『やっほー。遊びに来たよー』

「あ、クオ。どうしたの?」

カノは私がこちらに来たことに少し驚いたようだったがいつもの顔で問いかけてきた。

『いやー、私やることあんまりなさそうだったからさ、こっちのほうがおもしろいかなーとか思って』

「なるほど」

『あ、キドたちめっけ』

テロリストたちのほうを見ているとキドたちが見えた

「え、どこどこ?」

『そこ。ってなんでマリー電気アンマ持ってんの!?』

指をさして場所を示した。

それと同時にマリーがこちらを向いたのだが、どこから持ってきたのか電気アンマを手にしていた。

「ああ、見つけた見つけた」

何を話しているのかはわからないが、キドが何か言って、マリーが電気アンマを持ち上げてからのコードがマリーの足に絡みつき、見事な転倒です、マリー選手!

そして電気アンマ君はテロリストの無精髭野郎、以下無精髭君に目掛けて飛んだ!

キド選手とキサラギ選手はそれを阻止しようと手を伸ばしますが……!


お見事、電気アンマ君!

後頭部に命中いたしました!


無精髭君は罪のない仲間を殴っていますね。

お仲間さんかわいそうですね〜。

でも、この場面とても滑稽です!


何これ。

実況みたいにしてるとすごくおもしろいじゃん。

「……ぷ、くくっ」

『笑わ、ないでよ……!こっち、は我慢して、んだから……!』

結局私たちはクスクスと笑いだしてしまった。

「え……?」

キサラギ兄がこちらを見る。

カノしか見えていないだろうけど。

カノがそれに気づきしゃべり始めた。


うーん、やっぱりキサラギ兄は似てるなあ、アイツと。

でもあんな可愛い妹いるって言ってたっけ?

同じ顔の人は世の中に三人いるって言うしなあ……

ま、そのうちわかるか。

カノとキサラギ兄の会話に耳を傾けた。







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