目を剥いて掛けた話
□第16話 時間切れでも健在
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見通しのいい大きい通路に出ても現状は変わらず。
まずは早急に手を打たなくては……!
「どうする?一旦離れる?」
『キサラギの兄貴さんも連れてきたほうがいいと思うんだけど』
「そうだな。じゃあ、カノはキサラギの兄貴を連れて来い。あんまりびびらせないようにな」
「了解。二人をお願いね」
「大丈夫だ、任せとけ」
『心配無用だよ、急ぎなよ?』
緊迫した中での会話はスムーズに進んだ。
カノはキサラギ兄を連れて来るべく先程キサラギ兄が歩いて行ったほうの通路へ向かった。
私は周りの様子の確認をすることにした。
「ちょ、ちょっと団長さんクオさん?お兄ちゃん連れてくるってどういう……?それにここを離れるって携帯は……」
「今の奴、あいつのリュックから尋常じゃない火薬の臭いがする。恐らく重火器の類いだ。少しだけ銃身も見えたしな、爆弾もあるようだ」
私もそれを見たがために直感が当たっていることを確信した。
周りを見渡しているとさっきの奴と同じリュックを背負った奴が見えた。
『……ッ!キド、ヤバい……!今そこの通路を通った奴も仲間っぽい』
「まずいな……!おい、カノが戻ったらすぐにここを出るぞ!」
「な、なに……?キドどうしたの……?」
マリーはキドの急変ぶりにうろたえている。
キサラギも理解しきれていないようだ。
周辺視野を駆使し怪しい奴らを見てると、向こうの通路にいた奴が時計をチラリと見、リュックの中から物を取り出そうとしていた。
『キド、どうやら間に合わんようだ……!』
空気が一瞬にして張り詰める。
その変化にはキサラギもマリーも気づいたようだ。
「団長さん……あ……あれ……!」
「クソッ……とにかく今は言うことを聞いてくれ。恐らくもうここは……」
バァン!
辺りに轟音が響き渡る。
たちまちフロアのあちこちで悲鳴や叫び声が上がる。
「ひっ……」
マリーは驚きキサラギにしがみつく。
だんだん悲鳴等の音量が増し、耳をつんざいてくる。
私らがいた通路に立っていた奴は上着を脱ぎ軍服のような服装になるとリュックから銃を取りだし、どこかへ駆け出して行った。
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