目を剥いて掛けた話
□第15話 見かけて離れて遭遇
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エレベーターではキドの能力が使えなくなるおそれがあるので私たちは階段を上っている。
お盆のせいなのか各フロアにいる人たちが多く感じる。
なんだか鬱陶しい。
早く買い物をすませたいことにはすませたいのだが、来るであろうと予想していたものが的中してしまって大分疲れた……
「キ、キサラギ……?」
「ん〜?なぁにマリーちゃん?」
わーお。
キサラギ、黒い笑顔になってる。
「ひっ……あ、あの……元気だして……」
「やだなぁ。私とっても元気だよ?楽しいねぇ……ふふふ……」
元気だなんて嘘だろ。
楽しいってのも絶対嘘だろ。
めちゃくちゃ黒い笑顔じゃないか!!
「う、うん……そうだね……ごめんね……」
そう思うなら早く上れるように体力つけてくれい、マリー。
来るであろうと予測していたものとはマリーのスタミナ切れである。
普段外に出ないものだから体力なんて無いようなものだ。
だから階段を上ろうとするとロスタイムが半端ない。
「……ふぁ〜」
ふと後ろにいるカノの方を向くとカノはあくびをしていた。
『カノ、お前キサラギの言う通りに帰って寝てた方が良かったんじゃないか?』
「なんで?」
『眠そうだから』
「うーん。まぁ眠いっちゃ眠いけど一緒にいる方が楽しいでしょ?」
『……確かに。特にキサラギとマリー辺りが面白いことをしてくれそうだよな』
「プ……やっぱりそう思う?」
『……』
「クオ?」
『いや、何でもない』
なんか上着の中がどこぞの軍隊っぽい服を着た奴みたいなのを見た気がしたが、気のせいであることを祈ろう。
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