目を剥いて掛けた話

□第14話 まず進もうか
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「――クオ、キサラギ?どうしたんだ?」

「お兄ちゃん……」

「『は……?お兄ちゃん?』って――うおっ!?」

私はお兄ちゃんと聞いた途端、もしかして人違い?とか思って思い出すのをやめた。

そしてキサラギはお兄ちゃんという言葉を発した後、逃げようとしたのか足を動かしたらもつれ、キドにぶつかった。

キドはバランスを崩しキサラギにお兄ちゃんと言われた人にぶつかってしまった。

キド大丈夫だろうか……

「……ッ!!」

キサラギの顔にはしまったと書いてある。

わかりやすいなぁ。

「わ、わぁ!!」

マリー……

なんで関係ないところで転べる?

キドは体勢を立て直すと、キサラギにお兄ちゃんと呼ばれた人に向き直った。

「あ……わわすみません!ええと……その……あの……」

キサラギにお兄ちゃんと呼ばれた人はダイナミックに頭を下げた。

なんて潔い……ってかすごくビックリした。

だってほら……

いや、人のこと言えないか。


キサラギが盛大にため息をつく。


「……いいよ別に。悪かったね」


キドはそう言ってこちらに戻ってきた。

ちなみにキサラギにお兄ちゃんと……ええい面倒臭い!キサラギ兄(仮)は頭を上げキョロキョロ辺りを見回した後膝に手をつき深呼吸をしていた。

それを見たキサラギが手で顔を覆う。


「もう……最悪……」

『何、あの人キサラギのお兄さん?』

「違います……」

やけに説得力ない言い方だな。

「お、おいどういうことだキサラギ!あいつお前の兄貴なのか!?」

キドは列に戻った途端に冷や汗を垂らしながらキサラギに言及した。

「う……ち、違います……やめてください……違うんです……」

そっか……

あの人、キサラギのお兄さんなのか。

「いやいや、さっきキサラギちゃん思いっきり「お兄ちゃん」って呼んでたから」

『あ、カノ居たんだ』

「え!?ずっと居たよ!?」

『途中から居るの気づかなかったよ。いやすまそすまそ』

「もう……別にいいよ……」

別にいいんだったら私は気にしないからね?





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