短編
□I wate for you.
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まだ寒いこの季節
私は一人で古典部の部室にいた
同じクラスで同じ古典部であるホータローは今日は用事があるとか言って先に帰っていった
椅子に座って机にうつ伏せになる
『寒いなー。暖房つけたいなぁ……』
と言っても暖房がついていたら快適に過ごせるだろうというだけで
わざわざ暖房つける為に動こうとは思わなかった
『しっかしなぁ……』
一人だと静か過ぎて暇だ
いや、そもそも日常が忙しいだけか
じゃあ何かひとつのことについて考えてみよう
うーん……
あ、そうだ
うん、これがいいな
ちょうどいい
私の頭の中を整理しようじゃないか
いつからだったか私は福部里志のことが好きになっていた
こだわらないことにこだわる彼を
さて、私はなぜ彼を好きになんかなったんだろうか
まず里志が摩耶花のことを好いているであろうことは知っている
摩耶花が里志を好いているであろうことも知っている
この間のバレンタインでそれが確信できることもわかっている
にも関わらず私は里志に恋愛感情を持ってしまった、と
いや、今のは恋愛感情がバレンタインの後に出てきたように聞こえるかもしれないから問の答えにはなっていないか……
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