なまいきざかり

□第一話
2ページ/5ページ





「成瀬 翔
 です」


「(デカい…てゆーかケータイやめろ)
 …成瀬くん…はC組ね
 入学式始まるまで教室にいるように
 あとコレつけて」


「うい」


(「はい」って言え)


「あーーーーーー!!
 まりかいたよ!
 成瀬いたーーー!!
 中学卒業ブリじゃん
 何組だったーー!?」


そう女の子が駆け寄ってきた瞬間



「成瀬くん」の手が自分の胸に当たった



「…デカい」


スパーーーン
彼がそういった瞬間、大きな音とともに彼の体が傾いた


『バカ、あやまれ』


その発信源を見るとこの世のものとは思えないほどの
美少女が片手をあげて立っていた
大きな目、私より少し長いくらいの綺麗な黒髪、白い肌
周りも(男共)その子を見た瞬間、固まっていた


「…いてぇな」


『痛くしたからね
 すみません先輩。後できつく言っておきますから
 許してやって下さい』


「…だいじょうぶ、気にしてないから…」


『ありがとうございます。
 私、成瀬まりかです。』


「あっ成瀬さんね
 成瀬さんは…A組ね
 入学式はじまるまでは教室にいるように
 あとコレつけて」


『はい。ありがとうございます。
 先輩さきほどは本当にすみませんでした。
 翔はあやまれ、ありさ行くよ』


「あーすみませんでした(棒)」


(こいつ…)


「ちょっとっ待ってよまりか!」


この流れの間、人のこと言えないが彼女は無表情だった。
(あの子たち親戚か何かかな、顔似てないし
いやどうでもいいか、もう関わることもないだろう)



町田由希 17歳 高2


あんな子供に乳つかまれるくらい屁でもない。


三つ子の弟、双子の妹
怪物たちの激戦区で育ったわたしは
ただひたすら大人になった


――――そう だから

半年も前の入学式のことを
いまごろにもなって
むし返して騒いだり
ましてや思い出して赤くなったりも
私はしない




ピー―――ッ



「シュート練そこまで
 次ディフェンス
 メニュー始めるんで2人1組つくってください」


「「「うへーーー」」」



「きつーーー
 町田マネージャー休憩いつスかー」


「あと8分43秒後」


「細けっ」


「阿部くんもっと集中しなさい
 選抜優勝大会の予選まで
 もう一週間ないのよ?」


「こえー」


「!」



たとえ
例の1年生が同じ部活内にいるとしても―――


「由希センパイて
 いつも険しー顔してんね
 固ーのは乳だけにしとけば」


「成瀬うるさい」


ドンッ


そういった瞬間
どこからかボールが飛んできて成瀬の体が傾いた
いや犯人は知っている


『翔、あんたいい加減にしなよ』


そうあの入学式の時の美少女だ


『由希センパイすみません。
 あっ洗濯終わりました。』


「…ありがとう」


この子は似てないが成瀬翔の双子の妹。似てないが

『あっドリンク作ってきますね』


よく気がつくし、うるさくないし
ほんとに似てない。
顔が整ってるぐらいしか似ていない
…あと無表情なとこくらいか
自分も人のこと言えないが


「…成瀬、フラフラしてないで位置につく」


「…えーい」

成瀬が1年生のところに戻ると小さく騒ぐ

「か…固かったの?」「さわったの?」
「ど…どうだった?」「見た目よりあるけどまりかよりだいぶ固いから56点」
「えっお前まりかちゃんのさわったのかよ!?」
「つい手が当たった、てか妹だしどうでもいい」「おまえ!羨ましすぎる!!」
「あの美少女の胸を!!!」「いやただの暴力人間だし」
「あんなかわいい子になら踏まれてもいい!!」


(いーから早く練習しろ)






.










.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ