アオハライド

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まりかを呼び捨てにしだしたのはあの日
俺にとって最悪な日
まぁ今となってはいい思い出だ



あの時はまりかの両親が亡くなってから1ヶ月ほどたち随分落ち着いていた頃


俺は宿題を一生懸命にしていた


すると隣の兄貴の部屋が急にうるさくなった
そういえばまりかが今日は夕食を食べるんだと思い出した
じゃあ2人が騒いでるんだとわかり
その原因が何か気になって兄貴の部屋に行くと2人が抱き合いながら喧嘩していた


俺はその姿を見てなんとなく兄貴にまりかをとられたんだと理解した


そのあとはどうだろう
泣くしかあの頃の俺にはできなかった
まりかも心配して俺のそばに来てくれたが逆効果だ
なんだか余計に泣けた


それからは何で兄貴に負けたのかわからなくて必死に考えた
そして考えたのが俺が年下だからダメなんだと思った
兄貴は学校でもまりかに会える
俺はまりかが家に来たときにしか会えない
その差だと思っていた


だから少しでも対等に見てほしくて次の日からまりかを呼び捨てにした


それでも俺のことは見てくれなかった
いつも兄貴を見て優しく微笑んでいた
俺には向けてくれたことのない笑顔を
そして兄貴も同じような顔でまりかを見ていた
あぁこの2人はなにか固い絆で結ばれているんだと子どもながらに理解してしまった
でもそれが悔しくて泣いた日もあった


けどしだいに2人が幸せになってほしいと思えるようになっていた
なぜか
今でもわからないけどいつのまにか二人を応援している自分がいた


月日が経ち
吉岡に出会い、恋に落ち
悲しい別れを経験した


そしてあいつ、吉岡のおかげと言いたくないがあいつのおかげでなんだか気持ちがすっきりした


そして理解した
なんでまりかが兄貴を選んだのか
俺以上に想像絶する悲しみをあいつは1人で受け止めることになった
家族がみんな死に、だれもいなくなって悲しみにくれたとき多分兄貴が救ったんだろう


俺があいつに救われたようにまりかも兄貴に救われた
俺の前では弱音を吐かないまりかは兄貴の前では泣くのだろう


俺もまりかも幸せなのかもしれない
周りに人がいることが


だから今慣れないあいつを1人にはできない
悲しみを知ってるからこそできない

別に深い意味はないから大丈夫だろう




そう思ったから俺はまりかの警告を無視した
後からどうなるかも知らずに・・・・





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