アオハライド

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『死んじゃったの・・・
私なんかを守って・・・』



俺はまりかの発言に言葉を失う


嘘だと思いたいがまりかはそんな冗談を言う奴じゃない
だとしたらほんとうに・・・・?



『一瞬でなにが起こったかわからなかった
起きたらここにいた
…で聞いたんだ、私達の乗ってた車がスリップして壁にぶつかったんだって
運転手さんは即死でお父さんとお母さんはさっきまで息があったんだけど・・・・・』



『っっ私なんかを、かばって
ふたりっ、とも、発見されたっ、とき
わたっ、しの上にっ、おおいかぶっ、さってたんだって』



陽「っまりか!」


おれはまりかを抱きしめようと近寄ろうとした


『近寄らないで!!』


陽「っ!?」


『慰めなんていらない!!
私が悪いの!!私なんかをかばったせいでっ
私がっわたしが死ねばよかっっ 』

パシンっという音が
まりかの言葉をとぎるように部屋に響いた
俺は初めてまりかを叩いていた


まりかの頬も陽一の手もヒリヒリしていた


『っった!!』

まりかは陽一を睨む


陽「お前、ほんとに自分が死ねばよかったと思ってんの?」


喧嘩した時にも聞いたことのないような陽一の低い声が病室に響く
その声にまりかはビクッとなるがそれを隠すように声を張り上げる


『当たり前じゃない!!
私を守らなかったら助かったかもしれないっ
それにっもしみんな死んでたとしても私はそれでよかった!!1人にされるよりずっとマシだよ!!!』


陽「・・・・・」


『ねぇ私を殺して!!
殺してよ陽一!!私もうっもう!!
・・・っ生きたくないよっ』


そう言った瞬間陽一は力一杯まりかを抱きしめた


『っ離して!』


陽一の腕の中でまりかは暴れるが陽一はまりかの言葉を無視して更に強く抱きしめた


陽「っおじさんとおばさんには悪いけど俺はお前が・・まりかが生きててくれて嬉しかった!!
俺は2人に感謝するっ
死にたいって言っても絶対死なせてやらない!
・・・・・お願いだから死にたいなんて言わないでくれよ
せっかく助かった命を・・っおじさんとおばさんの大切な命を無駄にするようなこと言うなよ!!
そんなことおじさんもおばさんも望んでないことぐらいお前ならわかるだろっ!」



『っっっ!!』


陽「俺がそばにいるじゃんか
俺や洸や母さんや親父がいるじゃんか!!
お前は1人じゃないよっ!!
1人なんかに絶対しない!
おじさんとおばさんを忘れろなんて言わない
だけど後ろばっかり見てないで前を見ろ!!

まりかなら絶対にできる
おじさんとおばさんの子のお前だったら絶対にできる!!」


すると先程まで暴れていたまりかが抱きしめ返してきた


『よ・・・いち』


陽「・・なに?」


俺の服を強く握りしめてくる


『ごっごめんね
わたしっわたしっ!!』



陽「・・・全部吐き出していいから
全部受け止めるから」



『っっお母さん、お父さんに会いたいよっ
まだ何もっ恩返ししてないっ
まだまだ、聞きたいこともたくさんあったのにっ
・・・もっともっともっと
一緒にいたかったよぉっっっ』


陽「・・・・・」






まりかはこの後もずっと泣き続けていた
涙が枯れるんじゃないかってぐらい泣いていた
俺は抱きしめることしかできなかった


そしてもうひとつ重要なことに気づいてあげられなかった
まりかが俺を抱きしめている左手に力が入っていないことに・・・・・




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