アオハライド

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数日後〜


陽一と私は先日話してた通り陽一の実家でまたご飯を作って洸たち一緒に食べるために買い物に向かった


『陽一、材料はこれぐらいでいいかな?』


陽「いいんじゃない?
じゃあ行こうか」


『うんっ

・・・洸いるかな?』


いつもなにかしら理由をつけていない洸を思い出して不安になって少し下を向いてしまった私の頭を陽一が優しく撫でてくれる


陽「いたらいいな」



***********


いつも通り洸たちの家に入る
部屋にあかりがついていたから陽一が嬉しそうに大きな声で話しかけながらドアをあける


陽「洸ーーーー
いんのかーーー?」


リビングの部屋のドアを開けて先に入っていこうとしてた陽一が入る前に固まった


『なに・・どうした・・の?
あぁ・・』


私も何かあったのかと急いで中を見ると洸の手が双葉ちゃんの顔に触れていた


陽「えっ ちょっ・・・こらっ」


なぜか陽一の方が顔を赤くして壁に隠れながら2人に軽い注意をする
すると洸の手がパッと離れた


洸「そういうんじゃねーから
母さんのこと知ったら泣いちゃった」


陽「そうか」


『・・・・』


私もだが陽一もそれ以上何も言えなかった


洸「やべ
もう行かないと」

時計を見てそう言って廊下に出る洸
それを双葉ちゃんは追いかけた


双「どこ行くの?
もしかしてまた・・・」



洸「今日はバイト」


私も陽一も双葉ちゃんに続いて廊下に出ながら声をかける


陽「なんだ
今日バイトか
車乗っけてってやろうか?」


洸「いーーーー」


『もー今日は洸の好きなチキン南蛮にしたのに』

まだダメだったかと心の中では苦笑いになりながらも、それがバレないように
いつも通りの明るい調子を保ちながらわたしは洸に冗談めかして言った


洸「・・・また作ってよ

それとかわりにそいつ送ってやれば?」


双「え?

あっ待ってよ」


双葉ちゃんが止めようとしたが洸はそのままそっけない態度で出て行ってしまった


双「田中先生って洸と仲悪いんですか?」


陽「ははっ」


陽一は双葉ちゃんの言葉に笑いながらも
とりあえず送るよと声をかけた


*********


車の中〜


陽一は運転、私は助手席に座り双葉ちゃんは後ろの席に座った
車を発進させたと同時に陽一は、
さっき双葉ちゃんに質問されたことについて話し始めた


陽「洸は多分
俺を許せないんだろうなー」


陽一の言葉に自然と私は自分の手ひらを強く握りしめていた


双「え?」


陽「両親の離婚の時さ」


・・・・

陽「洸
母さんを頼むな」


洸「わかった」


・・・・


陽「そう言って本当に一番大変な時
洸に全部まかせちゃったからな」


『・・・・・』

・・・・・・

母が病気になって入院した時
俺は教師になったばかりで
引越し先だった長崎の病院にはたまにしか行けなかった

会う度やせていく母親を見るのは本当に辛くて

病室に入るのがいつも怖かった
すごく怖かった

・・・・・


陽「あんな想いを
あいつは 毎日 たったひとりで・・・」


『・・・・・・』


陽一は暗い空気を壊すように明るく双葉ちゃんに話しかける


陽「洸は本当は優しくていい子なんだ
だから―――」


双「知ってます」


ミラーで後ろを見ると双葉ちゃんは泣いていた
そして涙を流しながらもう1回言う


双「知ってます!」


陽「そうでしょ
あいつ いい子なんだ・・・・

・・・・・・・・ありがとう」


私は泣きそうになるのを耐えた



******


双葉ちゃんを送ったあと
静かな車の中私は思ってることを伝えたくて呟いた


『・・・洸は陽一のこと許せないなんて思ってないよ・・』


陽「えっ?」


『私洸のこと痛いほど分かる・・
私の親、私のコンクールに行く途中に事故してなくなっちゃったでしょ?
それに私を守りながら
自分のせいで死んじゃったから私は幸せになる資格がないんだって』


陽「っ・・あれはまりかは悪くないだろっ」


『うん今は両親の変わりに生きなきゃって思えるようになったよ
全部陽一があの時私を支えてくれたおかげ

多分洸は今自分を責めてるような気がする
だけどそれを救えるのは私達じゃない
私に陽一がいたように洸にもそう思える子がいるはず・・・
私は双葉ちゃんだと思ってるけどね』


陽「・・・そうだな
そうだといいな…
まりか、」


『なぁに?』


陽「愛してる」


『・・・・私も』


愛の言葉を呟き
2人で笑いあう、お母さんお父さんのおかげで今私はこんなにも幸せです




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