アオハライド

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『洸〜〜』



洸が風邪をひいてご飯を作りにやってきたまりか
先に行くはずだった陽一は車がエンストしてしまっていた
そして買ったアイスをたまたま通りかかった双葉にお願いしたらしいのでお邪魔かなーと思いながらまりかは家に入ったのだが、双葉の靴らしき物は見当たらなかった



『もう双葉ちゃん帰っちゃったのかぁ…』



部屋は真っ暗で洸の返事もない
少し心配になって洸の部屋に急いで行った



部屋を開けると洸の静かな寝息が聞こえた
その姿に安心して洸の寝ているベッドまで近づき、洸のおでこを触り熱が下がったかを確かめてみた



すると触ったせいなのか洸がゆっくりと目を開けた


洸「…まりか」



『あっ、ごめんね
起こしちゃったみたいだね』



洸はベットからゆっくりと起き上った



洸「別に…
けっこう寝たし」


『そう
双葉ちゃんは?来たでしょ?』


洸「…うん
アイス置いてすぐ帰ってもらった」


『そうだよねぇ
風邪うつっちゃダメだしね
じゃあなにか食べた?』


ふと洸はまりかに違和感を覚える



洸「いや…だるかったし」


『じゃあ作っちゃうね
なにか食べたいものある?』


その違和感が何なのかを考える洸


洸「別になんでも」



『もーそれが一番困るのにー
まぁいいやじゃあちょっと待ってて』


ニコッと笑顔で言い部屋から出て行ったまりか


洸「あぁ」


そして気づいた
まりかってこんな笑い方だったっけ?



それは些細な違いかもしれない
だけど長年いた洸は違和感を覚える笑顔だった


(…なんかあの笑顔けっこう前にもあったような…確か…まりかが高校生のときだっけか?
………!?)


洸は何かに気づいた


(そういえばあいつ文化祭のときからあの笑顔だったっ
あの時は色々あって気づかなかったけど今思い返してみればあいつ…!?


聞いた話によれば高校の時、兄貴の誤解で
まりかを不安にさせてた時期があった
そのときの笑顔と一緒なんだ…!)




洸は慌てて部屋を飛び出した
そしてまりかを見つけると後ろから勢いよく抱きしめた



『えっ!?なに!!?洸?
どうしたの急に』


洸「なんかあったのか?」


『えっ?』


洸「なんかあったのか兄貴と?」



最初はわけがわからないという顔をしていたまりかだったが兄貴という言葉にピクッと体が反応した


『なっなに言い出すのさ急に
別に何にもない 洸「俺には言えないことなのかよ!?」 …洸』


洸「俺そんなに頼りないかよ…」


『洸、違うのっ』


洸「違くねぇよ!!」


洸はさらに強くまりかを抱きしめた


洸「お願いだから俺のことも頼ってくれよ…
お前のこと心配なんだよ」


『洸…あのね』


まりかが意を決して洸になにかを話そうとした瞬間玄関のドアが開いた


陽「ただいまーーっと



………なにしてんの?」



まりかと洸は廊下にいた
つまり陽一は洸がまりかを抱きしめているところをばっちり目にしてしまったのだ


いくら弟とはいえ異性に抱きしめられている自分の奥さんを見ていい気分はしない
だから陽一の声のトーンは少し低かった


慌ててまりかは洸から離れた

『あっ💦おかえりなさい陽一!
ちょっと私が廊下で滑りそうだったとこを洸が助けてくれたの!
ありがとう洸。病人なのにごめんね

今からご飯作るところだったんだ
陽一も手伝って!』


陽「あっあぁ」


納得いかないようだったがとりあえず陽一は動き出す
しかし洸は止まったままだ


『洸?』


洸「…ぅ…っ」


『え?』


洸「嘘つくなよ!
俺に言えないならちゃんと兄貴と話し合え!
バカっっっ」


そう言って洸は自分の部屋に戻っていった
唖然とする2人
沈黙を破ったのはまりかだった


『も…もぉ洸は急に何言い出すんだろうね
全く…さぁご飯作ろう!
洸は後で説教だ!』


そう言いながらまりかはリビングに入ると腕を急に引っ張られ
細いけどしっかりしている体に抱きしめられた


『よっ陽一っ?』


急なことに恥ずかしさと驚きでいっぱいのまりか


『っどうしたのきゅ 陽「ねぇ俺気づいてるよ?」えっ?』


陽「まりかがいつもと違うこと
洸に言われなくても気づいてたよ?」


『っ別に私はいつも通りだよっっ』


陽「…まりか
俺の前では意地はらないで
それとも俺のこともう嫌いになった?」


『っ!ずるいよそんなこというなんてっ』


陽「俺はまりかが悲しんでいる顔をもう見たくないんだ
結婚した時言っただろ?
まりかをずっと俺の大好きな笑顔でそばにいさせてみせるって」



『っ………


………………しゅ…ちゃん…』



陽「ん?」


『修子ちゃんとキスしてた…』


そう言った瞬間
まりかの目から大量の涙があふれ出てきた
陽一はまりかを力いっぱい抱きしめた



陽「ごめんっ
あれを見てたんだね…そりゃ不安になるわ
…言い訳にしかならないけど
まりかが帰ってくるの遅くてちょっとふてくされてお酒飲みすぎちゃってさ

でちょうど酔っぱらってる時に村尾が財布届けてくれて
時間も遅かったから駅まで送ろうとしたしたんだそしたら…
油断してた…」


それを聞いて余計涙が出てくるまりか


『(確かに陽一は悪くないけど
それでも嫌だ…)』


陽「ごめんな…
もう2人っきりにならないから」


『…グスっ
絶対?』


陽「うん
それにそろそろもう結婚していること
わかるように指輪もするよ」


『えっ!?でも…そういうプライベートなことは学校には持ち込みたくないって…』


陽「いいんだ、もう(それにしてるってわかったら生徒に見たいと言われたりしてまりかを見せるようなことになったら嫌だっただけだし)←嫉妬)」


『……』


陽「…俺、夫としても兄貴としても教師としてもほんとダメだな……」


『!!
そんなことない!』


陽「!?」


『陽一は陽一のできることを精一杯がんばってるよ!
学校のことでも大変なのにこうして私の心配してくれるし…
グスっ…私はそんな陽一が大好きなんだから!
だからっ…私の大好きな陽一が自分で自分のことダメだなんて言わないで!!』


そう言った瞬間陽一はまりかにかみつくようなキスをした
涙がまたあふれ出した
まりかはそのまま流れに身をまかせた


まりかは何回も何回も繰り返すキスに息ができなくなってきていた


『んっ…よう…いち』


陽「まりか…
愛してる」


そう言ってまたキスの雨が降る


腰がフラフラしてきたころにやっと陽一は唇を離した


陽「俺ちゃんと機会があるときに村尾に言うから

俺には生涯ずっと愛している人がいるって」


『…ごめんね不安になったりして』


陽「ううんまりかは何も悪くない
俺の方こそごめん不安にさせて」


『愛してる』


陽「俺も…」


『…………さてとご飯つくろっか!』


陽「えっ!?
久しぶりなんだしもうちょっとイチャイチャしてたいんだけど…」


『しーらない!
さっどいたどいた』


そう言ってまりかはどんっと陽一を押した
陽一はいきなり押されたからかしりもちをついてしまった


『ぷっ
もー陽一はだめだねぇ』


陽「まりかが急に押したりするからだろ!」


『あっ!反論した!』


陽「!?」


『陽一はちょっとの間私に反論するの禁止ね〜
不安にさせた罰っ』


陽「え〜そんな〜」


『だからイチャイチャするのも私の気分しだい!』


陽「えっ!?そっそれだけはっ」


『しーらないっ
陽一がいけないんだからねっ』


にやにやしながら話すまりかと
青い顔で落ち込む陽一


ご飯に呼ばれた洸はその2人の対照的な顔に気持ち悪いと思いながらも
まりかの顔を見る限り問題が解決したんだとわかってほっとしていたのだった






 

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