◇咎狗の血◇
□綺麗なもの
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「……来たぞ。」
俺はケイスケにバレないようにこっそり待ち合わせの場所に来た。
ここは昔はマンションだった屋上。
階段はかなり朽ちていて上った時に何段か崩れた。
だけどこういった場所でなければ簡単に人に見つかってしまい噂はあっという間に広がるだろう。
それだけは避けたかった。
「おいで、ネコちゃん」
「……………。」
もうすでに来ていて座っているグンジにそう言われ黙ってグンジの横に行き座った。
「俺さ、花火って見るの初めてなんだけど……花火って綺麗なの?」
「え?あ、ああ……」
「フーン… そっかぁ」
突然そんなことを聞いてきたグンジ。
少しだけ見えた青い瞳はいつもの狂気の瞳ではなく、純粋な子供が親に知らないことを尋ねる時の瞳をしていた。
こんな目もするんだと意外に思った。
「あ、ネコちゃん…アレ?」
「え?あ…」
グンジの意外な一面に気を取られていたら花火は打ち上がっていた。
俺はグンジの質問にそうだと答えながら同時に久し振りに見たな…と思った。
「ネコちゃん…綺麗だな…」
「…ああ…」
「…でも…」
「!!」
久し振りに見た花火を見ていたら突如押し倒されてさっきまでは夜空に打ち上がる色取り取りの花火が見えていたのに今、目の前にあるのはグンジの怪しげな顔だった。
「…退けろよ…」
冷静に言ってみたが、グンジはニヤリと笑い首筋に顔を埋めてキスしてきた。
「ちょ…やめ…ろっ…」
「ヤだ〜」
「やだじゃ…なく…て…」
必死に抵抗してみるもののやっぱりびくともしない。
この時、いつも思う。
同じ男として情けない。
「ネコちゃん……大人しく……抱かれて?」
そう言われて俺から抵抗の言葉はその後出ることはなかった。
ただ出たのは喘ぎ声…。
―――――
「あ〜あ… ネコちゃん、気ィ失っちゃった…」
事情を終えて…というよりアキラが気を失ってしまったから強制的に終わってしまった。
グンジはアキラの頬に軽くキスをして、アキラの髪を触りながら言った。
「でもね、ネコちゃん…花火も綺麗だったけど……それよりも…ネコちゃんの方が何倍にも綺麗だぜ……」
その後、グンジは空に広がる星をただなんとなく見ていた。
END
祭りネタです。
というより花火ネタ?
でも、現パロにしない限り咎狗の世界では難しいです;
前の桜ネタの時と同じような内容は嫌だったので…;
アキラ自身も花火って1回しか見たことがない気がします。