◇咎狗の血◇
□綺麗なもの
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【綺麗なもの】
「花火?」
ここはトシマのバー。
そこでブタタグでソリドと水を交換した時にたまたま源泉のおっさんに会って一方的に話を聞かされていた。
「ああ。なんかアルビトロが明日にでも花火を上げるっていう情報が入ってな」
「……要らない情報だな」
「……まあな…」
「でも、花火か〜 楽しみだね、アキラ」
「あ、ああ…」
色々な話を聞かされてる中でアルビトロが明日に花火を上げると言うのを聞いた。
ケイスケは嬉しそうだったが、俺は正直そこまで楽しみでもない。
花火自体は綺麗だなと思うが、そこまで見たいとは思わない。
俺達はその後延々話が続きそうだったから途中で強制的に終わらせてケイスケと二人今住んでいる所まで帰った。
―――――
そして翌日。
「ぎゃああぁっっ!」
いつもと変わらず聞こえる叫び声。
叫び声の後から聞こえる罵声は処刑人の一人、グンジのものだった。
「よっわ!ライン使用してこれかよ!」
「仕方ねぇだろォ 元々が弱ぇんだからァ」
俺は物陰に隠れてやり過ごそうとした。
が…
「ん?」
「どうした?ヒヨ」
「……ジジィ。」
「あ?」
「…先帰ってて」
「っておい! ったく……」
「コ・ネ・コ・ちゃ・ん♪」
「……………。」
見つかってしまった……。
気配は消していたつもりでもコイツには何かが分かるのだろう。(決してキリヲが鈍感とかそういう訳ではない)
「なぁ、ネコちゃん。」
「……何だ」
「今日花火が上がるの知ってるでしょ?」
「……ああ」
嫌な予感がした。
いや、コイツに見つかった時点でもう嫌な予感がしていた。
「今夜一緒にそれ見ような」
「……………。」
予感は的中。
普通なら断ることも出来たであろう。
だけど、コイツの場合は断ることなんて出来なかった。
ましてやこの今の状況から逃げるには答えは一つ。
「……分かった。」
「ヤッタ♪ ネコちゃん、大好き♪」
今のこの状況――逃げようと後ろを振り返った時に抱き締められている。
こんな状況では逃げることは不可能だった。
力では絶対にコイツには勝てないからだ。